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リサーチ・レポート No.2023-019

女性の職業選択と教育―女性の職業選択の要因を探る―

2024年03月19日 井上恵理菜


日本は他の先進国に比べて高スキルの専門職が少なく、男女で比較すると特に女性の専門職が少ない。日本の女性の学力は男性と遜色ない程度に高いことを踏まえると、多くの女性が何らかの理由で自らの能力に合わない低スキルの職業を選択していることになる。現在、高スキル人材が不足するなか、女性が自らの能力にあった職業を選択できるようになれば、日本経済は潜在的な成長力を高めることができる。以上の問題意識に基づき、本稿では、女性の職業選択における要因を探った。

まず、「数学・科学力」と「コミュニケーション力」という二つのスキルで職業を分類すると、「数学・科学力」が必要とされる職業はもともと賃金水準が高いうえ、賃金上昇率が高く労働需要が強いが、現状では女性比率が低くなっている。

次に、厚生労働省が提供する「ジョブタグ」の職業別データを基に、女性がどのように職業を選択するかを検証した。その結果、女性は「数学・科学力」が必要とされる職業ほど選択しにくく、「コミュニケーション力」が必要とされる職業や私生活との両立がしやすい職業ほど選択しやすい、という結果が得られた。

特に「数学・科学力」が必要とされる職業での女性比率の低さが顕著であった。こうした職業を選択する女性を増やすためには、ジェンダー平等の視点を義務教育に取り込んでいくことや、理系科目を選択し専門職として働く女性のロールモデルを積極的に示していくことが必要である。

このような施策により、女性の職業選択の幅が広がれば、労働需要の強い高スキル高賃金の職業で働く女性が増え、女性の賃金上昇が実現されるだけでなく、人手が過剰な職業から人手が不足する職業への労働移動が生じ、マクロ経済全体として雇用のミスマッチの緩和や労働生産性の上昇にも寄与することが見込まれる。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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