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JRIレビュー Vol.3, No.106

【2022年シンポジウム プライマリ・ケアを核とした地域医療の再構築】
クロージング

2023年03月22日 翁百合


日本総合研究所主催シンポジウム 2022年12月8日 経団連会館、YouTube同時開催


 本日は、皆様、お忙しいところ、最後までシンポジウムの議論に参加、ご視聴いただきまして、誠にありがとうございました。また、パネリストの皆様には、大変貴重なご意見をご披露いただきまして、厚く御礼申し上げます。
 パネリストの皆様もご指摘の通り、かねてから指摘されていた日本の医療提供体制の問題がこのコロナ禍で顕在化いたしまして、私どもとしましても、今、国民の意識が高まっている、このタイミングで、まさに医療提供体制の問題の解決について議論していきたいと考えました。
 とくにプライマリ・ケアを核とした地域医療が、今回、課題として浮かび上がりましたので、ぜひ問題提起して、多くの皆様と議論を深めていきたいと考えておりました。病院につきましては、地域医療構想とか、議論が様々あったわけですけれども、家庭医制度は、ご紹介がありましたように、もう40年間ぐらい議論が深まっておりませんでしたので、まさにこのコロナ禍の経験が議論を前に進められる機会だと思ったわけでございます。
 これもご紹介がありましたけれども、かかりつけ医の制度化につきましては、財政審でも提言され、また、全世代型社会保障構築会議では、草場先生から詳しくご説明がございましたが、六つの条件も提言されて、医療機関、患者がそれぞれ手上げ方式とするというような案も議論されていました。しかし、2022年11月末に出ました医療部会からの案は、医療機関や自治体の情報提供を広げるということにとどまっておりまして、現状を大きく変えるものではないという感じで、今後が必ずしも見通せないという状況でございます。
 しかし、本日のシンポジウムでは、標準的プライマリ・ケアの普及の重要性が改めて浮き彫りになったと思われます。草場先生からは、日常的に患者の健康増進、予防を担い、適切な治療を提供できる、そして、専門医療との機能分化と連携を進めていけるということの重要性を改めて教えていただきましたし、井伊先生からは、データの活用と統計整備、そして見える化が全体として医療の質を高めていくことをご示唆いただきましたし、また、大須賀先生からは、薬剤師も含めた多職種連携を在宅のチーム医療で行うことも含めて、地域の患者のサポートにいかになるのか、ということを説得力を持ってお話しいただいたと思いまして、大変共感をいたしました。
 また一方で、このプライマリ・ケアを普及させていくためには、質の評価、人材育成、情報開示、電子カルテの普及やデジタル化、そして国民の理解や報酬制度の在り方、こういった様々な本当に多くの課題があって、一つひとつこれを考えて前に進めていく、課題を解決していく必要性を感じさせるシンポジウムだったと思います。
 2025年は超高齢社会、もう目前まで迫っていまして、医療の質を上げること、人手不足になる医療従事者の働き方改革も実現していくこと、そして同時に、医療費の高騰を抑制し、何より人々の安心につなげていくという医療提供体制が欠かせないと思います。その意味でも、プライマリ・ケアが地域の医療の核となることは、これらの問題の解決をしていくための一つの非常に重要な取組ですので、やはり発展させていくことは重要だと思います。現状ではまだ予断を許せませんけれども、弊社としましても、患者、国民目線に立って、粘り強く医療提供体制改革に向けて提言してまいりたいと思います。
 また、医療については、このほかにも様々な医療保険制度を含めて必要な改革がありますし、先ほどの情報開示とか人の育成もすべて関連する課題ですので、皆様と力を合わせて連携しながら、今後も制度改革への後押しの力になれればと思っております。
 実は、本日課題になったデータ利活用、デジタル化の推進、多職種での連携、それから働き方の改革や人への投資といったことは、日本全体の課題でもあると思います。まさに日本はデータやデジタルを生かしながら、付加価値の高いサービスが効率的に提供され、人が生かされて、持続的に発展していく社会になっていく必要があると思います。弊社はそういった社会を目指し分析、調査、研究に基づいた提言などを通じまして貢献してまいりたいと思っております。皆様には、よろしくご教示、ご連携のほどをお願い申し上げます。
 本日は大変貴重なご議論をいただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、このあたりでシンポジウムを終了させていただきます。どうもありがとうございました。(了)

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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