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リサーチ・フォーカス No.2022-048

COP27 の成果と今後の課題 ~求められる国際連携の強化とわが国への役割期待~

2022年12月13日 大嶋秀雄


本年11 月、エジプトで国連気候変動枠組条約第27 回締約国会合(COP27)が開催。気候変動対応への逆風により合意決裂を危惧する声もあったが、最終的に全会一致で「シャルム・エル・シェイク実施計画」を採択。

具体的な成果としては、温暖化に起因する災害等による「損失と損害」を支援する基金創設で歴史的な合意がなされたほか、災害等の早期警報システムのカバー範囲を5年以内に世界のすべての人に広げる目標も設定。また、防災インフラ整備といった温暖化への備えである「適応策」に関する目標設定や、「損失と損害」の技術支援の枠組みに関する議論も進展。

もっとも、温室効果ガス(GHG)排出削減といった温暖化を抑制する「緩和策」や新興国向け資金支援での成果は不十分。各国のGHG排出削減目標の引き上げは限られ、各国目標を総計しても1.5℃目標達成に必要な削減幅から大幅乖離。化石燃料全体の削減といった、具体策に関する踏み込んだ合意も実現せず。先進国の新興国向け気候関連資金支援も、2020 年目標が未達の状態が続き、実施計画では「重大な懸念」と指摘。

今後も、各国が気候変動への危機感を共有し、国際連携の維持・強化を図るためには、以下の取り組みが重要。
排出削減目標引き上げ:先進国は、脱炭素に不可欠な新興国の取り組みを促す観点から、新興国支援を強化し、自らより野心的な目標を掲げるべき。
具体的な緩和策:石炭火力やガソリン車等の削減といった具体策の議論を深め、脱炭素に向けた現実的なロードマップを明確化すべき。
多面的な新興国支援:民間企業を通じた新興国支援を促すためには、気候関連の支援だけでなく、基本的な法制度・規制等の事業環境整備も不可欠。

わが国には、来年のG7議長国として、脱炭素の議論をリードする役割が期待されており、今後は、国内の脱炭素施策の加速や削減目標引き上げ、新興国向け支援の強化といった、積極的な取り組みが必要。


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