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リサーチ・フォーカス No.2022-041

NGFSの新しい気候シナリオの概要~各国における分析の高度化とシナリオの活用促進が課題~

2022年10月27日 大嶋秀雄


本年9月、各国金融当局等が組織する気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)は、昨年に続き、気候シナリオを公表。気候変動対策の想定等が異なる6シナリオで構成され、新たに風水害等の影響が織り込まれるなど計測手法が高度化されたほか、直近の政策、経済、技術動向も反映。

世界経済への影響をみると、全シナリオで経済成長は鈍化。とくに温暖化が進むシナリオでGDPが大きく下振れ。また、早期かつ秩序ある脱炭素シナリオにおいても、一定程度の気温上昇や風水害の増加による物理的リスクは不可避であるほか、相応に移行リスクが生じるため、成長は鈍化する見通し。

リスク分類別の特徴として、移行リスクは、早期の脱炭素を実現するためには高水準の炭素価格が必要と想定されており、炭素価格の引き上げがインフレ率や金利の上昇等に波及。一方、物理的リスクは、地域差が大きく低緯度地域への影響が甚大。世界全体では、風水害等の急性リスクよりも、長期にわたり広範囲に影響を及ぼす熱波等の慢性リスクの影響大。

今後は、NGFSシナリオの分析高度化と活用促進を通じて、気候関連リスクの理解を一段と深めていくことが重要。NGFSや各国政府、金融セクターに求められる取り組みは以下。
分析高度化:NGFSが、セクター別・地域別分析の精緻化といった計測手法の改善を進める一方、各国政府は、不足する情報を補完した各国独自のシナリオの策定を検討すべき。加えて、金融セクターは、NGFSシナリオに基づく分析の積極的な実施等によりノウハウを蓄積することが必要。

活用促進:NGFSがシナリオの解説や活用事例などの情報提供を強化する一方、各国政府は企業の気候関連情報開示に関するルールやガイドライン等においてNGFSシナリオの活用を促進。金融セクターは、投融資先への対話(エンゲージメント)やコンサルティングを通じて、事業会社でのNGFSシナリオの活用を促すべき。


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