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リサーチ・フォーカス No.2022-019

カーボン・クレジットがもたらす効果と課題~効率的な脱炭素と家計の脱炭素意識の醸成に向けて~

2022年07月05日 大嶋秀雄


カーボン・クレジットとは、温室効果ガス(GHG)の排出削減量などをクレジットとして発行し取引可能にしたもの。炭素価格(カーボン・プライシング)の一種で、法的拘束力がない自主的な取り組みとして導入されており、脱炭素の取り組みが加速するなか、すでに幅広い企業で活用されている。

カーボン・クレジットの活用により、①自ら創出したクレジットを販売して脱炭素のための資金を調達できるほか、②クレジットを購入して削減困難なGHG排出量と相殺(オフセット)することが可能に。また、社会全体としてみれば、③低コストの排出削減策が選好されるため、効率的な脱炭素が可能になるほか、④クレジットを活用した脱炭素製品・サービスの提供を通じて、家計の脱炭素意識を醸成する効果も期待可能。

今後の普及に向けた主な問題点とその解決の方向性は、以下の通り。
①クレジットの信頼性欠如
カーボン・クレジットの算定基準は不明確で、現状では排出削減効果への疑念あり。クレジットの発行や品質評価のルール整備、裏付けとなる排出削減プロジェクトをモニタリングする枠組みの構築による信頼性向上が必要。
②企業の排出削減に対するディスインセンティブ
企業がカーボン・クレジットを活用して低コストでオフセットができると、自社の排出削減に消極的になる懸念あり。オフセットの安易な活用を防ぐ観点から、その活用の可否や活用状況の開示に関するルール整備が急務。
③不透明な取引実態や価格決定方法
カーボン・クレジットは多様、かつ、相対取引が中心であるため、取引実態や価格決定方法が不透明。市場取引への移行に加え、標準化や分類化による市場取引可能なクレジットの拡充を通じた透明性の向上が重要。
④吸収・除去系クレジットの不足
カーボン・クレジットには、再エネ等による排出削減を裏付けとする削減系と、GHGの直接回収を裏付けとする吸収・除去系が存在するものの、新規発行の9割超が削減系。今後は、需要拡大が想定される吸収・除去系の発行を後押しするため、研究開発への助成金などの公的支援を強化すべき。

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