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日本の上場企業役員におけるジェンダーバランスの実態調査(2021年度版)

2022年06月23日 綾高徳、山名景子、石井隆介


 株式会社日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門は、上場企業2,648社における役員29,054人(※1)のジェンダーバランス実態について調査した。

●調査結果(図表1、2を参考)

・役員29,054人のうち、女性は2,398人(役員に占める女性比率は8.3%)であった。
・女性役員2,398人のうち、社内役員(※2)は378人(社内役員に占める女性比率は2.3%)、社外役員(※3)は2,020人(社外役員に占める女性比率は16.1%)であった。育成・キャリア形成に時間を要する社内役員よりも、まずは外部労働市場から招聘してくる社外役員から女性役員の任用が進んでいることが伺える。
・女性の社内役員378人のうち社内取締役は310人(社内取締役に占める女性比率は2.2%)、社内取締役(監査等委員)は19人(社内取締役(監査等委員)に占める女性比率は2.7%)、社内監査役は49人(社内監査役に占める女性比率は2.4%)であった。
・女性の社外役員2,020人のうち社外取締役は1,204人(社外取締役に占める女性比率は20.5%)、社外取締役(監査等委員)は396人(社外取締役(監査等委員)に占める女性比率は15.3%)、社外監査役は420人(社外監査役に占める女性比率は10.3%)であった。
・売上高、時価総額の規模別に任用状況を整理すると、規模の大きい企業ほど女性役員の任用が進んでいることが伺えた。




 当該テーマに関して、このほどEUでは、EU理事会と欧州議会が上場企業の取締役会におけるジェンダーバランス改善を要請する法案について暫定合意に達した(※4)。2012年に欧州委員会が女性役員のクオータ制(割当制)導入を提起して以来、EUにおいてさえおよそ10年をかけて達した成果である。
 筆者はEUの取り組みを「取締役の任用はプリミティブ要素(※5)を充足したうえで個社ガバナンス・事業の必要性に応じたスキルに基づいて行われる経済合理性原則」の上位にジェンダーバランスを位置付けるものと理解している。このことが企業の中長期的企業価値にどのような影響を与えるのか、また世界中の株主をはじめとするステークホルダーにどのように説明するのか等、いまだ明らかにされていない部分はあるものの、EUにおいては具体的なアクションを先行させることに重きを置く姿勢が見て取れる。
 これからのEUにおける取り組みと成果をウオッチして、わが国における議論に還元していくことが重要であろう。

(※1)  EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)提出の東証一部・東証二部上場企業2,648社を分析対象とした。調査は有価証券報告書をソース とし、有価証券報告書記載の4【コーポレートガバナンスの状況等】(2)【役員の状況】①役員一覧、に記載の役員を整理・集計した。有価証券報告書は2020年4月1日~2021年3月31日を対象期間として提出されたものを用いた。
(※2) 本稿において社内役員は社内取締役(監査等委員を含む)と社内監査役を指す。
(※3) 本稿において社外役員は社外取締役(監査等委員を含む)と社外監査役を指す。
(※4) Council of the EU「Council and European Parliament agree to improve gender balance on company boards」(7 June 2022)(筆者検索2022/06/10)によると、上場企業は2026年6月末までに、取締役会の構成員のうち少数ジェンダー(ほとんどの場合が女性)の比率を日々の業務ではなく経営の監督を担う役員(非業務執行取締役)で40%以上、全役員で33%以上とする必要があるとしている。
(※5) 自社理念・哲学が身についているか、優れた人格・見識をもっているか、重責を担う上で健康面に不安はないか、コンプライアンス面で問題はないか等の任用選考における基礎的要素。

※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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