※本調査研究は、令和3年度子ども・子育て支援調査研究事業(厚生労働省)として実施したものです。
1.背景と目的
ベビーシッターによる子どもの預かりサービスを仲介するマッチングサイト(以下「マッチングサイト」という。)については、厚生労働省において「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」(以下「マッチングサイトガイドライン」という。)を作成し、その遵守状況を公表する対応がとられてきたものの、児童福祉の観点からの規制や法令上の義務付けは行われていないのが現状である。
女性の社会進出が進み、コロナ禍で新しい働き方が急速に広まりつつある現在においては、子どもの預け先は多様であることが望ましく、マッチングサイトを介したベビーシッター(以下、マッチング型ベビーシッター)はその一つとしての役割を担っている。また、マッチング型ベビーシッターは、保育士や子育て経験のある専業主婦の労働オプションの一つともなっている。こうしたことから、マッチングサイトには、保護者が安心して子どもを預けることができ、保育者が安心して働くことのできる環境作りに向けた一層の取り組みが求められる。本事業ではこのマッチング型ベビーシッターのシッティングの実態や保育者・保護者・サイト運営事業者が抱える課題等を明らかにすることを目的とした調査を実施した。
2.調査の方法・進め方
本調査研究では以下の内容を実施した。
(1)保育者向けアンケート調査およびインタビュー調査
(2)保護者向けアンケート調査およびインタビュー調査
(3)マッチングサイト運営事業者向けアンケート調査およびインタビュー調査
(4)報告書取りまとめ
3.主な調査結果
・マッチング型ベビーシッターは、マッチングがオンライン上で行われることもあり、新しい働き方を受容しやすい若年層が多い。また、インタビューにおいて、保育の仕事をしていた方が労働環境を改善するために、働き方を自由に調整でき、利用しやすいマッチングサイトでベビーシッターを始めたケースが多く見られた。
・現在マッチング型ベビーシッターとして働く方の今後のマッチングサイトの利用意向は9割以上と非常に高い。また、現在はマッチング型以外のベビーシッター(派遣型ベビーシッター、直接紹介型ベビーシッター)として働く方においても、今後のマッチングサイトの利用意向は約6~7割であった。(マッチング型が今後、ベビーシッターの働き方として定着する可能性がある。 )
・マッチング型ベビーシッターを利用する保護者は共働き世帯が多い。手軽にさまざまな利用シーンで利用しやすい点が受け入れられていることが明らかとなった。
・マッチングサイト業界は、多くの中小規模事業者と少数の大規模事業者で構成されている。マッチングサイトに登録しているベビーシッターが保有する資格については、「保育士」や「幼稚園教諭」が主流であるものの、登録ベビーシッターに占める割合は決して多いとはいえない状況であることが明らかとなった。
4.まとめ
調査結果等を踏まえ、以下のとおり課題と今後の検討事項を整理した。
<調査を踏まえた課題>
・保育者・保護者向けの調査結果から、保育者および保護者が感じる課題をサービス提供プロセスに沿って以下の通り整理・抽出した。
・マッチングサイト運営事業者向けの調査から、以下の3つの課題があることが明らかとなった。
・マッチングサイトへの登録時に保育者に対して提出を求める書類の一部に、対応の負担が大きい/業務の実態にそぐわないものがある。
・有資格者を除く保育者に対して修了が定められている「都道府県知事等が行う研修」について、研修の利便性(頻度、開催日程、言語など)の問題により、受講できない保育者がいる。
・マッチングサイト運営事業者が定める利用規約の遵守にあたっては、保育者への働きかけに重点が置かれており、保護者に対する働きかけや保護者からの情報収集が手薄である。
<今後検討すべき事項>
・以上を踏まえ、マッチング型ベビーシッターによるシッティングが適正に行われる環境整備に向けた課題として6点を挙げた。
※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書】
【本件に関するお問い合わせ】
リサーチ・コンサルティング部門
マネジャー 今川 成樹
TEL:080-1100-0057 E-mail:imagawa.shigeki.k9@jri.co.jp