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RIM 環太平洋ビジネス情報 Vol.22,No.84

第2ステージに突入した東南アジアのスタートアップ

2022年02月14日 岩崎薫里


東南アジアでは2010年代初頭以降、ほぼゼロの状態からスタートアップの立ち上げが活発化し、資金調達額やユニコーン(推定評価額10億ドル以上の未上場企業)の数において日本を瞬く間に追い抜いた。事業内容は、独自のビジネスモデルというよりも、アメリカや中国発のものを取り入れているケースがほとんどである。課題解決型スタートアップが多いが、課題を解決出来るのであればどこがオリジンのビジネスモデルであろうと関係ないという考え方が浸透している。

この10年間を振り返ると、スタートアップ人材に加えて資金面や政策面からの支援が拡充していった。エグジットは引き続きM&Aが中心ながら、ここにきて選択肢としてIPOの可能性を展望出来るようになった。スタートアップの事業も、個人の課題を解決するB2C(個人向け)中心であった当初から、企業の課題解決に向けたB2B(企業向け)、さらに最近では社会の課題解決へと多様化する方向にある。

ただし、国によってスタートアップの活動状況に差が大きいのも事実である。最も活発なのがシンガポールとインドネシアであり、ベトナム、マレーシア、タイが団子状態で追い、その後にフィリピンが続く形となっている。この差は、圧倒的に有利な要素があるか否かによってもたらされている。シンガポールは、抜きんでて良好な事業環境に、政府による積極的かつ継続的なスタートアップ促進策が加わる。インドネシアは、事業環境、政策とも良好とはいえないものの、それらを補って余りあるのが人口2.7億人の巨大市場である。両国とも早々にロールモデルが出現した
ことの影響も大きい。この2カ国にベトナム、マレーシア、タイが後れを取っているのは、圧倒的に有利な要素が見当たらないためであり、フィリピンはそれに事業環境の悪さが加わり、さらに劣後する形となっている。

ここにきて、スタートアップの黎明期に立ち上がった複数のユニコーンがエグジットする、ないしエグジットを計画しており、東南アジアのスタートアップ全体も一つの区切りを迎えている。これまでの10年間を東南アジアのスタートアップの発展段階における第1ステージとすれば、現在は第2ステージに突入していると捉えることが出来る。事業環境が大幅に改善した第2ステージでは、B2Bの領域でスタートアップが増加すると見込まれる。東南アジアでB2Cスタートアップが個人の不便・不自由の軽減に貢献したように、B2Bスタートアップが、企業のデジタル化を促進し課題解決に貢献することが期待される。
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