コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

【ハイテク】「エルピーダメモリ、台湾の半導体3社と統合交渉」

=====≪quote≫
 半導体大手のエルピーダメモリが台湾の半導体メーカー3社と経営統合交渉を進めていることが21日明らかになった。半導体各社は市況低迷で業績が悪化しており、統合合意を前提に台湾当局に金融支援を求める考え。ただ日台4社や台湾当局の間にはまだ考え方の開きがあり、合意できるか不透明な面がある。
 DRAMメーカーのエルピーダは昨秋から、提携先である力晶半導体、力晶とエルピーダの合弁会社である瑞晶電子、大手の茂徳科技の3社と統合を視野に入れた交渉に入った。エルピーダは現在DRAMで世界3位。統合が実現すれば世界シェアは約3割になり、首位の韓国サムスン電子に次ぐ2位になる。
 パソコンなどに使われるDRAMの市況は低迷しており、大手の業績は昨夏以降急速に悪化している。DRAMが主力産業である台湾では、経済部(経済産業省)が国内DRAMメーカーに金融支援をする意向を表明。各社に再建策の策定を求め、力晶や茂徳は金融支援を受けるため、それぞれエルピーダとの連携を軸とした再建案を提示していた。
(出所)NIKKEI IT PLUS(2009年1月21日)

=====≪unquote≫

≪評≫山浦康史〔研究員〕

 DRAM市場の急激な悪化を受けての統合交渉であろうと考えられる。もともとエルピーダメモリは、携帯電話やデジタル家電向けの高付加価値なDRAM(エルピーダメモリではプレミアDRAMと呼んでいる)が強みであった。このプレミアDRAMは、コンピューター向けのDRAMと比較して市場価格が安定しているため、売上高に対するプレミアDRAMの売上高の割合が競合他社よりも高いエルピーダメモリはDRAM不況に対して比較的強かったと言える。しかし、プレミアDRAMは市場規模がまだ大きくないため、コンピューター向けDRAMの生産に強い力昌(パワーチップ)社と合弁で瑞晶(レックスチップ)社を設立したという経緯があった。

 経営統合が行われればエルピーダメモリにおけるコンピューター向けのDRAMの割合が高くなり過ぎて、もともとの強みであった、安定性が損なわれてしまうおそれがあるのではないかと考えられる。

経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ