1月14日の報道発表によると、2月1日からカーボンフットプリントマークを貼付した製品(日本ハム株式会社のウインナーとロースハム)が、全国の店頭において販売されることが正式に明らかになった。 そもそも、カーボンフットプリント(以下、CFP)とは、直訳すると「炭素の足跡」であり、商品・サービスの原料調達から消費者が使用・廃棄するまでのライフサイクル全体で排出された温室効果ガスの量を「見える化」しようというものである。 この表示制度(注1)の目的は、事業者がサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なる温室効果ガス排出量削減に努めるとともに、消費者が提供された情報を有効に活用して自らの消費生活を低炭素なものに変革していくことである。 また、マーク付与にいたるまでには(1)商品種別算定基準(PCR)(注2)原案策定計画の登録、(2)PCRの認定、(3)CFPの検証の3ステップの申請手続きを経る必要があり、1月25日現在(1)で75の計画登録、(2)で21のPCR認定、(3)で(2)の認定を受けたPCRに基づき算定・検証された製品が24にのぼる。これら24の製品のうち、日本ハムからの製品が全国店頭販売の第1号案件となる。 制度の申請状況を見ると、現在(1)で登録されたPCR原案策定計画のうち、B to Cのものは過半数を下回るものの、(2)のPCRが認定された製品のほとんどは食品関連・文房具関連といったB to C 商品が中心となっている。また、(1)から(2)の期間は40日~150日前後である。対象商品・バウンダリが広いもの、関連業界・計画実施事業者が多いものほど、申請プロセスに多くの時間が費やされる傾向が見られる。 筆者がいくつかの企業・団体にCFPについてヒアリングすると、データの収集・算定に企業内部で相当の労力を割く必要があり、算定だけで疲弊してしまう、という声をよく耳にする。また、CFPの数値の大小は、低炭素性を定量的に示したものであるものの、それ自体は消費者に訴求しづらい、という声もある。 しかしながら、数値の表示はあくまできっかけであり、CFPの表示を含めたプロモーション次第では、環境経営の推進、企業ブランドイメージの向上につなげることも可能であると考えている。例えば、単に温室効果ガスの数値が低いことを謳うのではなく、消費者自らも商品購入を通して社会貢献、環境配慮、エコライフスタイルに間接的に関わることができる、というような訴求方法を工夫することで新たな企業価値を生み出すことも可能ではないか。 この表示制度は、まだ立ち上がったばかりではあるが、官民あげての低炭素社会の実現に向けて、消費者というステークホルダーから企業へのプレッシャーになるのは間違いない。企業としては、これを逆にチャンスと捉え、環境経営戦略への契機としてはいかがだろうか。