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中国経済展望

このコーナーでは、中国経済の現状と展望について人民元の動きや直近の政策動向を含め、月1回の 頻度でタイムリーにご紹介いたします

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2010年

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9月号

1.景気の現状

  • 景気の拡大テンポはやや緩やかに
    景気は、内需の拡大と外需の持ち直しにより、拡大傾向であるものの、テンポはやや緩やかになった。
  • 主要経済指標の動き
    ① 内需については、都市部固定資産投資の伸びが低下。旺盛な国内需要と潤沢な資金供給を背景に、多くの業種で堅調な拡大が続いているものの、政府主導で不動産業など一部の業種に調整の動きがみられた。7月のM2は前年同月比17.6%増、銀行融資残高は同18.4%増とリーマン・ショック以前と同等の伸びまで落ち着いた。小売売上高は高い伸びを持続。
    ② 外需は増加傾向を維持。世界的な景気後退後の先進国での景気対策効果と低価格志向の強まりにより、輸出額は急激に落ち込む前の2008年を上回る水準で推移。
    ③ 工業生産は在庫調整と不動産政策の押し下げ効果を主因に、7月に前年同月比13.4%増と先月から0.3ポイントの小幅低下。
    ④ 物価は上昇傾向を維持。7月の消費者物価上昇率は前年同月比3.3%、上昇幅は6月から0.4ポイント拡大。名目賃金の上昇に加え、6月の大雨により野菜価格が上昇。7月の主要70都市の不動産価格は前年同月比10.3%の上昇と伸び率が先月に比べて1.1ポイント低下。金融政策のシフトと政府の価格抑制策が背景。

2.最近のマクロ政策

  • 金融政策は現状維持(8/5公表)
    四半期に1度の貨幣政策執行報告によると、中国人民銀行は4~6月期の景気は良好、物価は緩やかな上昇と認識。今後の景気は不透明で、物価上昇圧力が残るとの見通しにもとづき、現行の金融政策を維持すると発表。
  • 製造業に老朽設備廃棄命令(8/18公表)
    工業情報化部は老朽化した生産設備を保有していると判断した製造業18業種、2087社のリストを発表。2010年9月末までに当該設備を廃棄できなかった企業には新規融資停止などの罰則。

    8月号

    1.景気の現状

    • 景気拡大テンポは巡航速度に
      4~6月期の実質GDP成長率は前年同期比10.3%と、1~3月期の同11.9%から低下した。伸び率は2001~09年の年平均成長率である10.4%と同等の水準であることを踏まえると、景気拡大ペースは巡航速度に戻ったといえよう。 
    • 主要経済指標の動き
      ① 6月のマネーサプライは前年同月比18.5%増、銀行融資残高は同18.2%増とリーマン・ショック以前と同等の伸びまで落ち着いた。金融危機による景気悪化に対応するための臨時的な金融政策から平常時の金融政策にシフト。増加する資金供給と旺盛な国内需要を背景に、投資は高い伸びを維持。消費も高水準を持続したことから、内需は堅調な拡大基調にあると判断。
        ② 輸出も増加傾向を維持。世界的な景気後退後の先進国での景気対策効果と低価格志向の強まりにより、輸出額は急激に落ち込む前の2008年を上回る水準に。内外需は好調であるものの、6月の工業生産の増加幅は同13.7%に縮小した。これは、前年同月の生産水準の拡大が顕著であったことに加え、在庫調整が行われたため。
        ③ 6月の主要70都市の不動産価格は前年同月比11.4%上昇。政府の価格抑制策を背景に5月に比べ、伸び率が1.0ポイント低下。6月の消費者物価は前年同月比2.9%上昇。上昇幅は5月から0.2ポイント低下したものの、天候要因を背景とした野菜価格の下落が主因。したがって、物価上昇の鈍化は一時的な現象と考えられ、基調としては高水準を維持。

    2.最近のマクロ政策

    • 人民元建て貿易決済の範囲拡大(6/17公表)
      対外貿易において広東省と上海市のみに認められていた人民元建て決済対象地域を、北京・チベットなど20地域に広げる。対象相手国もASEANなど一部地域から、全世界に拡大。
    • 農作物市場の価格監督強化(7/1公表)
      国家発展改革委員会は、違法な農産物の価格つりあげ行為に対し、専門部署の設立などにより監督を強化。

      7月号

      1.景気の現状

      • 回復基調を維持
        2009年春以降の景気回復が続いている。内需については、都市部固定資産投資と小売売上高ともに高い伸びを維持。外需については、輸出額が金融危機以前の水準まで持ち直した。これらにより、工業生産は高めの伸びを持続。
      • 主要経済指標の動き
        ① マネーサプライは5月に前年同月比21.0%増、銀行融資残高は同21.5%増。金融危機による景気悪化に対応するための臨時的な金融緩和策から常時の金融政策に戻しつつある。増加する資金供給と旺盛な国内需要を背景に、1~5月の都市部固定資産投資は前年同期比25.9%増。
        ② 輸出は5月に前年同月比48.5%増と急回復。世界的な景気後退後の先進国での景気対策効果と低価格志向の強まりにより、輸出額は急激に落ち込む前の2008年を上回る水準に。ただし、工業生産は同16.5%増と、増加幅がやや縮小した。
        ③主要70都市の不動産価格指数は5月に前年同月比+12.4%。4月に比べ、伸び率が0.4%ポイント低下。価格の伸びが低下したのは1年2カ月ぶり。消費者物価指数は前年同月比+3.1%と、08年10月(同+4.0%)以来の高い上昇率に。
      • 国家統計局の経済情勢認識(6/11)
        5月に工業生産の増加幅が縮小したのは、前年同月の生産水準の拡大が顕著であったため。5月の前月比が1.1%増であったことを踏まえると、生産は正常な拡大ペースを維持。物価は上昇を続けているものの、テンポは緩やかになったとの見解。

      2.最近のマクロ政策

      • 人民元レートの弾力化に関する声明(6/19公表)
        中国人民銀行は19日夜、「為替レートの弾力性を高める」と発表。金融危機以降、人民元の対ドルレートは事実上固定されてきたが、再び緩やかに上昇すると見込まれる。
      • 自動車買い替え支援策の延長(6/13公表)
        自動車買い替え支援策である「汽車以旧換新」政策の期限を2010年5月31日から2010年12月31日に延長。

        6月号

        1.景気の現状

        • 景気の回復が続くなか、引き締め措置を徐々に強化
          急激な伸びはみられなくなったものの、主要経済指標は増勢を保つ。他方、物価や不動産価格の上昇ペースが加速するなか、政府は過剰流動性の吸収などの対策を強化している。 
        • 主要経済指標の動き
          ① 4月のマネーサプライは前年同月比21.5%増、銀行融資残高は同22.0%増。マネーサプライの伸びは緩やかな鈍化を続ける一方、銀行融資残高の伸び率は3月と同水準。1~4月の都市部固定資産投資は前年同期比26.1%増と、1~3月より伸び率は0.3%ポイント低下したものの、高止まり。
          ② 4月の主要70都市の不動産価格指数は、前年同月比+12.8%。3月に比べ、伸び率が1.1%ポイント上昇。消費者物価指数は前年同月比+2.8%と、2008年10月(同+4.0%)以来の高い上昇率。いずれも、インフレ懸念を惹起させる結果。
            ③ 4月の輸出は、5カ月連続で前年を上回り、貿易収支は小幅ながら、2カ月ぶりの黒字に。4月の製造業購買担当者指数(PMI)は55.7と、好不況の目安である50を14カ月連続して上回る。
        • 温家宝首相の経済運営に関する発言
          天津市を視察(5/13~14)した際、温首相は「積極的な財政政策」及び「適度に緩和した金融政策」の継続を改めて強調。半面、生産過剰業種での設備増強投資や一部都市における住宅価格急騰は抑え込む決意も表明。内外の複雑な情勢を背景に、成長持続と景気過熱対策の両方に配慮。

        2.最近のマクロ政策

        • 預金準備率の引き上げ(5/2発表)
          過剰流動性の吸収強化策として、2010年入り後3回目となる預金準備率の引き上げが10日より実施。農村金融機関の準備率を据え置くなど、景気への一定の配慮も。
        • 「中国貨幣政策執行報告」(5/10発表)
          同報告で中国人民銀行は、世界的な金融緩和などに伴う価格上昇圧力の高まりを指摘するも、「適度に緩和した金融政策」の継続を明言。

          5月号

          1.景気の現状

          • 1~3月の実質GDP成長率は、前年同期比+11.9%
            2四半期連続の2桁成長となり、経済は力強い回復傾向を示す。その一方、不動産価格の高騰に歯止めかからず。回復の流れを損ねないよう配慮しつつ、政府は過熱対策を徐々に強化。
          • 主要経済指標の動き
            ① 3月のマネーサプライは前年同月比22.5%増、銀行融資残高は同21.8%増。緩和策を全面転換したとはいえないものの、伸びは鈍化し、引き締め策が実施された2008年前半の水準に近付きつつある。1~3月の全社会固定資産投資は前年同期比25.6%増と、2009年半ばのピーク時より減速するも、高水準の伸び率。
            ② 3月の主要70都市の不動産価格指数は、前年同月比+11.7%。2月に比べ、伸び率は1.0%ポイント上昇。3月の消費者物価指数は、前年同月比+2.4%。2月より上昇ペースは若干鈍化したが、インフレ懸念は払拭されず。
            ③ 輸出は、4カ月連続で前年比プラス。一方、資源価格の高騰などで輸入額が急増し、3月の貿易収支は、2004年4月以来となる赤字。
          • 需要項目別の成長率寄与度(4/15)
            国家統計局の李暁超スポークスマン、記者からの質問に対して寄与度を数値で示す。1~3月期の成長率11.9%に対し、資本形成(投資)は6.9%ポイント、消費は6.2%ポイント。改善傾向がみられるものの、純輸出は成長率の押し下げ要因(▲1.2%ポイント)。

          2.最近のマクロ政策

          • 国務院常務会議(4/14)
            住宅価格の高騰回避を当面の経済運営における重点項目の1つとして盛りこむ。半面、目下の経済情勢は複雑として、「積極的な財政政策」と「適度に緩和した金融政策」の継続を確認。
          • 住宅購入に関する引き締め強化(4/17)
            国務院(中央政府)、14日の常務会議を踏まえ、2軒目購入時の住宅ローンの頭金比率を40%以上から50%以上に引き上げることなどを柱とする通知を地方や関係省庁に発令。

            4月号

            1.景気の現状

            • 景気回復続くなか、インフレ懸念が現実味
              輸出の増加傾向が強まるなど、景気は引き続き回復軌道。こうしたなか、インフレ懸念が現実味を増す。2月はCPI、不動産価格とも、上昇ペースが加速。価格の安定と成長持続の両立が経済運営における重要課題に。 
            • 主要経済指標の動き
              ① 2月の輸出は、前年同月比45.7%増。3カ月連続して前年比プラスになるとともに、伸びが加速。工業生産も高い伸びを示す(1~2月は前年同期比20.7%増)。その一方、1~2月の都市部固定資産投資は、前年同期比26.6%増。2009年半ばのピーク時に比べて、減速感は否めず。
              ② 2月の銀行融資残高は前年同月比27.2%増、マネーサプライは同25.5%増。依然高水準ではあるものの、伸び率の低下続く。
                ③ 2月の主要70都市の不動産価格指数は、前年同月比+10.7%。1月に比べて、伸び率は1.2%ポイント上昇。2月の消費者物価指数は、前年同月比+2.7%。生産段階における原材料購入価格の上昇も続いており、インフレ懸念を再び高める根拠に。
            • 国家発展改革委員会の物価見通し(3/23)
              国家発展改革委員会、2月の消費者物価上昇率が市場の予想を上回ったことに関して、主因は天候不良など、短期的な要因と説明。3月は天候回復等を背景に、物価上昇は若干鈍化するとともに、1~3月期は前年同期比+2.0%~+2.5%程度の上昇にとどまるとの見通しを示す。

            2.最近のマクロ政策

            • 出口戦略の実施時期(3/6)
              周小川・中国人民銀行行長(中央銀行総裁)、記者会見の席上、インフレ警戒感を示しつつも、緊急時の政策対応から平常時の政策対応への移行(出口戦略の実施)に際しては、慎重さが求められると発言。
            • 国務院常務会議(3/24)
              交通や通信、インフラなどの分野に、民間投資(企業)の参入を促す方針を提示。成長持続や産業活性化を主眼としたもの。

              3月号

              1.景気の現状

              • 過熱回避に向けた取り組みを強化
                不動産価格の上昇ペースの加速やインフレ懸念を背景に、預金準備率引き上げなどの対策を徐々に強化。その一方、景気の回復基調を維持する観点から、胡錦濤政権は成長持続に向けた財政・金融政策の実施継続を強調。
              • 2月号

                1.景気の現状

                • 2009年の実質GDP成長率は、前年比+8.7%
                  1月21日、国家統計局は2009年の実質GDP成長率を前年比+8.7%と発表。10~12月期は前年同期比+10.7%と、6四半期ぶりの2桁成長。投資の高水準での伸びに加え、消費も堅調に拡大するなど、内需が景気回復をけん引。半面、不動産価格の高騰やインフレ懸念等への対処が喫緊の課題として浮上。
                • 1月号

                  1.景気の現状

                  • 景気は、回復基調を保つ
                    都市部固定資産投資は減速傾向をたどっているものの、前年同期比30%超の高水準の伸びが続く。輸出減少率の大幅な改善や工業生産の拡大ペースの加速などもあって、景気は引き続き回復基調。政府は、成長持続と過熱防止の両立に腐心。
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