コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

クローズアップテーマ

第7回 シェアードサービスでグループ経営革新を 【藤田 芳夫】(2008/12/01)

2008年12月01日 藤田芳夫


1.シェアードサービスとは

 シェアードサービス(shared service)とは、グループ企業それぞれが持つ間接業務や購買業務などを一つの組織に集約して、グループ全体に提供する仕組みである。専門化によるサービス品質の向上と業務の集中によるコストの削減を達成することが出来るとして、日本では2000年前後に話題になったが、大きな効果が上がったという事例はあまりなかった。しかし昨今、ネットワーク環境の高速化、連結会計制度に代表されるグループ経営の重視、グループ全体でのERP導入事例の増加などによって、シェアードサービスの効果が高まり、導入する企業が増えてきている。

2.グループ経営革新としてのシェアードサービス

 シェアードサービスでは、グループ企業の経理、人事、購買、情報システムなどを集中化することで、グループ全体での経営革新を企図する。サービスをグループ全体に提供する新たな組織(企業)を設け、サービスの専門化によって業務の有効性と効率性の向上を図るのである。
 このとき前提となるのが、業務プロセスの標準化とシェアードシステム(shared system)の導入である。シェアードシステムとは企業グループなど複数の組織で情報システムを共同利用することである。シェアードサービスの効果を得るためには、各社で異なる業務プロセスを標準化・共通化するBPR(Business Process Reengineering)を実施した上で、標準化した業務プロセスに適したシステムを導入することが必要である。
 業務の標準化は、J-SOX対応を実施した企業にとっても大きな課題となっている。特に、財務報告上重要な業務は、大変苦労して業務フロー、業務記述書、リスク・コントロール・マトリックス(RCM)などの、いわゆる3点セットを作成したことと思う。しかし、J-SOX対応が業務の有効性と効率性に寄与している企業は、残念ながらまだ少数ではないだろうか。シェアードサービス導入に先立つグループ全体での業務の見直し・標準化は、J-SOXの3点セットを有効活用するよい機会でもあり、業務改革にもつながるのである。

3.シェアードサービスで内部統制を強化する

 シェアードサービスの導入は、グループ全体での業務の標準化、リスクの高い業務の集約による統制の強化、シェアードシステム導入によるIT統制の高度化などが期待できる。シェアードサービスは、グループ全体の内部統制を強化するという観点でも有効な手法なのである。グループ企業を多く持つならば、検討の価値があるかもしれない。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ