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第5回 BCM/BCPの導入に向けて 【藤田 芳夫】(2008/11/04)

2008年11月04日 藤田芳夫


1.事業継続管理とは

 近年、コンプライアンス・CSR等の社会的要請、内部統制・ステークホルダーの信頼性確保といった面から、事業継続管理(BCM)の導入や事業継続計画(BCP)の策定の要望が高まっている。グローバル化(グローバルリスクへの対応)、IT化(情報システム中断リスク増大)、事業効率化(拠点の集中)、企業間連携の複雑化(ファブレス化、アウトソーシング化、サプライチェーンの複雑化)により、BCM/BCPの導入が重要と考えられるようになってきたのである。

2.なぜ今、事業継続管理なのか

 BCM/BCP導入が必要とされている背景として、以下のような点が考えられる。

(1)大規模災害や事故発生の影響拡大
・グローバル化により、国内のみならず海外での災害、事故、テロ等への対応が必要
・IT化・ネットワーク化の進展により、重要な情報システムの中断時の影響が拡大
・事業効率化による拠点、プロセス、取引先等の集中により災害等の影響リスクが拡大
(2)複雑化する企業間連携
・ファブレス化、アウトソーシング化の進展
・サプライチェーン、業務委託・提携関係の複雑化
・企業の相互依存関係の重要性増大
(3)社会的責任への対応
・J-SOX等内部統制リスクへの対応
・コンプライアンス、CSR等社会的責任への対応
・ステークホルダーからの事業継続要求
(4)国内・国際標準化の動向
・内閣府、経済産業省、中小企業庁、日本銀行などがそれぞれガイドラインを公開
・国際規格(ISO/PAS22399)の制定や、英国規格(BS25999)での認証登録の開始
(財団法人日本情報処理開発協会が2008年7月30日よりBCMS実証運用を開始)

3.事業継続管理の効果

 では、BCMを導入し、BCPを策定することによって、企業・組織にはどのようなメリットがあるのだろうか。一般には、重要な業務及びサービスの停止を回避し、または停止からの早期復旧を実現するために必要な準備を整えることが可能となるといわれている。BCMによって、(1)事故発生の予防措置を講じ、(2)万一事故が発生した場合はその影響範囲を軽減し、(3)事故による業務中断時間を短縮することが期待できるのである。

図 事業継続管理の効果



4.継続すべき事業を明らかにしよう

 BCM導入には、大変な手間と労力が必要である。あらゆる事業をすべて対象とすることは困難であり、リスクマネジメントの視点で重要業務プロセスを決定することが重要となる。主要な製品及びサービスをサポートする活動を特定し、その活動の中断による影響を分析する「ビジネスインパクト分析」が必須なのである。
 筆者は、BCM導入のもっとも大きな効果は、「自社にとって最も重要な事業とは何かを真剣に見直す機会を得られる」ということであると考える。重要な事業中断のリスクをマネジメントすることで、リスクに強い組織を作ることが可能となるのである。

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