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カーボンフットプリント試行品の試験販売開始

2009年02月09日 青山光彦


 3月3日、経済産業省からの報道発表を通して、カーボンフットプリント試行品の試験販売が開始されることが公表されました。これと同時に、一般消費者の「意識調査」も行われるようです。報道発表資料によればカーボンフットプリント制度の実用化・普及に向けた活動の一環として、「エコプロダクツ2008」に出展したカーボンフットプリント試行品を、実際の店頭で試験販売する、とのことです。

 ここで、カーボンフットプリント制度のそもそもの目的に振り返ってみたいと思います。「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」によれば、「自らの出す炭素に責任を持つことが求められている産業界と国民一人一人が、低炭素社会の実現に向けて、賢く、そして責任ある行動をとるために、CO2排出量の『見える化』によって、事業者はサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減に努め、消費者は提供された情報を有効に活用して自らの消費生活を低炭素なものに変革していくことが求められる。」とあります。
 つまり、カーボンフットプリント制度は、低炭素社会の実現に向けて、産業界及び国民一人ひとりの責任ある行動を誘導するための制度といえそうです。

 今回の試験販売は、アンケートも店頭やウェブ上で実施し、その調査結果で集めた意見をもとに、同制度の有効性を高めて、来年度以降の試行事業に反映させる狙いがありますので、制度の目的から見て、特に、消費者(国民一人ひとり)側のアプローチに対して、受容性、有効性などを図る取り組みといえそうです。

 一方で、産業界に対しても、制度の目的から、責任ある取り組みとして、「サプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減」が今後求められると予想されます。実際にイギリスにおいても、2008年10月29日に、カーボンフットプリント算定方法の共通規格である「PAS2050」が策定される以前に実際の市場テストを実施したパイロットプロジェクトにおいて、取引先の調達行動の変化・影響をケーススタディとして取り上げ、報告書としてまとめられています。その中からサプライチェーンへの影響として以下のような実例が挙げられていました。
・食料品メーカーの場合、原材料製造者に対して、農薬の使用を控えるよう指導した
・調達先に対して、エネルギー消費量を減らすよう計画立案・指導を行った
・エネルギー効率の点からサプライチェーン全体の見直しを行い、調達先を国外から国内へとシフトした

 今年度の検討会では、CO2の表示にあたってのルール設定が主な議題でしたので、制度の基盤ができつつある現在、制度目的からも、事業者側の積極的なCO2排出量削減の取り組みが進むことを期待したいと思います。
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