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環境税に関する議論が静かに進行中

2008年10月03日 三木優


 この10月から、日本においても排出権取引制度が試行される予定であり、制度の中身や参加するか否かについて、多くの企業が関心を持っている。排出権取引制度は、新聞・TVなどでも取り上げられる機会が多いため、比較的、認知度は高いと思われる。

 排出権取引制度と並んで温室効果ガス排出量を抑制する手法の代表格として、環境税がある。これまでに環境省が提案してきた環境税は、化石燃料の炭素量に応じて665円/t-CO2の税金を課して、その税金を一般財源としつつも、温暖化対策のための減税等に重点的に充当すると言うものである。

 2004年に初めて提案された時には、地球温暖化の問題が今ほどは広く一般に認識されていなかったこともあって、産業界からの猛反対により、必要性や有効性などが議論されないまま、環境省が取り下げる事となった。その後、環境省は毎年の税制改正要望に環境税を盛り込んできたものの、特に大きな動きになる事もなく4年が過ぎようとしている。

 そのような中、道路特定財源の一般財源化や福田ビジョンとその後閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」において「税制のグリーン化」について言及されたことがきっかけとなり、環境税に関する議論が静かに進められようとしている。

 環境省が所管する中央環境審議会総合政策・地球環境合同部会の下に「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」が作られ、すでに9/3と9/16に委員会が開催されている。論点としては、以下の6点が挙げられている。「低炭素社会づくり行動計画」で示された「自動車、家電製品、住宅建築について、温室効果ガス排出を抑制するインセンティブとしての税制の活用」はオマケ的な扱いであり、議論の主目的は、環境省が従来から提案している環境税に関するものとなっている。

[1] 地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け
[2] 原油価格の高騰等の経済状況下での課税の効果
[3] 国民経済や産業の国際競争力に与える影響
[4] 既存エネルギー関係諸税との関係
[5] 諸外国における取組の現状
[6] 関連する個別のグリーン税制との連携

 当面は、試行的排出権取引制度に関心が集まると思われるが、環境税についても大きなインパクトを持つ事から、企業は、その議論の中身や自社への影響などに関心を払う必要がある。
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