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福田首相の辞任と地球温暖化対策

2008年09月04日 三木優


 9/2に福田首相が突然の辞任を発表された。同様に衝撃的な辞任となった、安倍前首相の後を受けた、衆参の多数派が異なる困難な状況での政局運営などにより、心労から首相を続けていく気力が萎えられてしまったのかなと、生中継の会見を見ながら感じた。

 福田首相の功績はいくつもあると思われるが、地球温暖化対策においては、ダボス会議での講演を皮切りに、洞爺湖サミットの開催や福田ビジョンの発表など、全体的には積極的に取り組んだと言える。特に福田ビジョンは、これまで積極的な支援策が示されてこなかった太陽光発電について、明確に導入量や価格の目標が設定され、それを実現するための施策を検討する事が示されたり、義務的排出権取引制度について、2008年秋から試行的に実施し、その制度づくりを具体化させていく事が示された。

 このように地球温暖化対策の面では「合格点」の福田首相であったが、辞任される事により、そもそも福田ビジョンの位置付けがどのようになるのか、非常に不透明な状況になったと言える。また、中期目標の設定など、温室効果ガス削減における2013年以降の枠組みが、新しい米国大統領が就任する2009年以降に大きく動き出す事が予想される中、新首相は短い準備期間で日本として、どのような戦略で臨んでいくのか決めなければならない状況にある。

 地球温暖化対策は、40年程度の長きにわたる取り組みである事から、長期を見据えた議論・意志決定が必要になる。そのため、ある程度は意志決定者が固定されないと議論だけが延々となされ、具体的な取り決め・行動に繋がっていかないおそれがある。10年後ぐらいに2008~2009年前後を振り返った時に、地球温暖化対策の面では、福田首相の辞任が日本の大きな出遅れに繋がった、と言う評価がなされないよう、新首相はスピード感を持って、中長期における地球温暖化対策のビジョンと具体策を打ち出すべきである。
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