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顧客接点における活動プロセスの設計

2008年04月04日 新角耕司


 自社の商品・サービスを顧客に届け、その対価を得るためには、「自社にとっての顧客は誰か」「顧客に提供すべき価値は何か」だけでなく、「顧客に価値をどのように提供するか」を考えることが重要になります。商品・サービスが実際に顧客に選択されるのは店頭・商談・ウェブサイト等の顧客接点であるため、顧客接点部門における自社の活動の良否が、企業の収益を左右すると言っても過言ではありません。
 
 では、具体的にはどのように顧客に価値を提供すればよいのでしょうか。そのためにまず、顧客の購買方法を考えてみましょう。企業の場合であれば、自社の業務遂行における何らかの課題を解決するため、一方生活者の場合であれば、何らかの欲求を満足するために商品・サービスを購入します。そしてそのための意思決定の流れは、いくつかの段階からなるプロセスとして整理することができ、これを「顧客の購買意思決定プロセス(以下「顧客プロセス」)」と呼びます。一般に、高価格商品や企業による購買の場合、顧客プロセスは長く複雑になり、逆に低価格商品や生活者による購買の場合、顧客プロセスは短くなる傾向があります。
 
 この観点に立てば、顧客接点における活動の目的は、顧客プロセスの前進を支援または促進することとなります。またこのとき、顧客プロセスの裏返しとして顧客接点における活動を定義することができます。これを「顧客接点活動プロセス(以下「活動プロセス」)」と呼ぶことにしましょう。
 
 活動プロセスにおいては、顧客プロセスの各段階において自社が提供すべき活動が定義されます。一例として生産財メーカーを想定し、顧客プロセス、それに対応した活動プロセス、およびそこで定義された活動をマーケティング・セールス・サポートなどの機能別に整理した概念図を以下に示します。

◆顧客プロセスに応じた活動プロセス、および定義された活動の機能別整理(概念図)

◆顧客プロセスに応じた活動プロセス、および定義された活動の機能別整理(概念図)

 これらの活動は、実際には企業の組織構造に応じた形で各顧客接点部門に分担されます。つまり、顧客プロセスを考え、それに対応した活動プロセスを定義することで、顧客接点における活動の目的と内容を明確にできるだけでなく、各顧客接点部門における役割分担も明確にすることができるのです。
 
 マーケティング部門と営業部門が連携できないなどの社内問題は多くの場合、顧客接点部門全体としての活動目的と部門ごとの役割分担が不明確であることに起因しています。活動プロセスを顧客接点部門の「羅針盤」として用いることにより、顧客接点部門間の活動のベクトルを揃え、顧客に対してストレートに価値を提供できる体制づくりを促進する効果も期待できるのです。
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