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厚生労働省「平成30年度被災3県心のケア総合支援調査研究等事業」の実施報告

2019年08月08日 柿崎平


 株式会社日本総合研究所では、厚生労働省の「平成30年度被災3県心のケア総合支援調査研究等事業」の採択を受け、東日本大震災の被災3県における心のケア活動の実態調査を実施した。

1.本調査研究等事業の目的

 東日本大震災の被災者を取り巻く環境については、復興施策の取り組みにより、インフラ整備をはじめ、住宅再建など住環境のハード整備は整いつつある一方で、被災者は慣れない環境での生活や未だ被災から抜け出せない中で精神的ストレスを抱えており、心のケア支援は発災以来、重要な政策課題であり続けている。
 東日本大震災からの復興の基本方針(平成23年7月29日東日本大震災復興対策本部決定)に基づき、切れ目のない心のケア提供体制構築のための課題および解決策を明らかにするとともに、心のケア支援に関する科学的根拠の収集・解析、専門人材の育成など、心のケア支援の在り方を検討するための諸情報を整理することを本調査の目的とする。
 なお、厚生労働省では、本調査研究等事業を3カ年計画(2018~2020年)で進めることが予定されているが、内容的には現時点では次図に示す「4つの柱」を中心に進めていくことが想定されている。



2.平成30年度事業の実施方法

 上述の事業構成図の4つの柱に沿って調査を進めた。2019年1月から同3月にかけて、被災3県の現場へ赴いたヒアリング調査、岩手県・宮城県・福島県・熊本県等々の心のケアに携わる関係者による連携強化会議の開催、本調査研究事業の企画等について助言等を得るための事業実施委員会の開催などを実施した。



3.実施結果と次年度以降の取り組み案

①データの収集・整理部門について
 平成25年3月より災害精神保健医療情報支援システム(DMHISS: Disaster Mental Health Information Support System)が共通システムとして運用され、心のケア活動に関する諸活動が継時的に記録されており、名寄せ集計が出来ない等の課題もあるが、諸活動の実績を概観するための1つ根拠となることは間違いなく、DMHISS情報を改めて分析する価値がある。加えて、被災3県においては、DMHISSとは別に独自の情報管理システムを構築運用し、固有の情報を蓄積していることも確認できており、次年度以降のより詳細なデータ分析等の余地がある。
 次年度は、DMHISS情報のさらなる分析と、それぞれの被災地で独自に収集蓄積されてきた諸データの収集分析を継続する必要がある。

②データの調査・分析部門について
 被災3県の心のケアセンターの立ち上げ・日々の運用、そして今後の在り方については、地域事情を反映した差異があり、一定の共通性を見つつも、細かくは個別具体的な議論が必要である。そのためにも、DMHISS情報をはじめ、各地域が持つ様々なデータに基づいた客観的な議論を進めていくことが肝要である。特に、各被災地における心のケア活動の在り方を検討するための基礎情報となる「地域全体のアセスメント(心のケア活動へのニーズ等の変化の把握)」をどのように行い得るのかについて、その可能性を多角的に考察していくことが求められている。

③研修プログラム開発・人材育成部門について
 心のケアセンター職員における初歩のスキルについては一定の整理、標準化がなされている。被災地において、心のケアセンターという新たな組織を立ち上げた場合、人材の入れ替わりが避けられない中で、組織としての能力をどのように維持向上させていくのかが1つの大きな課題であり、そのためのマネジメント方法等について必要な手法・人材・スキル等をさらに検討していく必要がある。その際、心のケアの支援に直接携わる専門職人材だけでなく、組織の運営、事務などのいわゆるロジ関連、アドミ関連を担う事務方のエキスパートの重要性がもっと強調されてよい。
 各論の前提として、もともと多義的な用語であり、その時の文脈や発話主体の専門性等により意味が微妙に異なる「心のケア」という概念を従来以上に可視化していく必要があり、次年度の課題の一つである。

④事業の報告書・編さん部門について
 被災3県心のケアセンターの活動報告書等をはじめとする各種レポートを収集し、一定のレビューを実施した。心のケアに関する様々な支援手法について被災3県をはじめ広く社会で共有していくために、さらには、心のケア活動についての関心や理解を醸成していくために、どのようなコミュニケーション活動が有り得るのか。新たな発想も採りいれて検討していくことが必要である。

※詳細につきましては、下記の報告書をご参照ください。
【報告書本編】

以上
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