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JRIレビュー Vol.8,No.69

関西経済見通し

2019年07月30日 石川智久若林厚仁西浦瑞穂


関西経済は、海外経済の減速等による輸出減、これによる生産の落ち込みが見られ、足許で足踏み感の強い状況にある。

一方、内需には底堅さがある。人手不足が深刻ななか、更新投資、省力化投資へのニーズの強さから、企業部門では設備投資が堅調。家計部門では、消費者マインドに弱さがあるものの、雇用・所得の改善は持続性があり、個人消費には底堅く推移している。

関西の実質経済成長率は、2019年度は+0.9%、2020年度は+1.0%と、全国をやや上回るペースで緩やかな回復が続く見通しである。

米中貿易摩擦は、米中が全品目に25%の関税を課した場合、米中両国の内需への悪影響に伴う輸出減が避けられない一方、相応の時間が経過すれば中国のアメリカ向け輸出減少分の代替効果が顕在化することで関西経済への影響は相殺される公算。ただし、その際、リスクオフにより1円程度の円高/元安が進行した場合、関西GRPは0.5%ポイント程度下押しされる可能性がある。

関西経済にプラスの影響をもたらしている観光需要拡大の動きは、2018年には自然災害の影響から減速したが、2019年入り後には回復傾向を取り戻している。大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産へ登録されるなど明るい話題もある。観光資源の活用、観光客目線に立った利便性の向上といった課題に官民一体で取り組むことが必要である。

改元を機に振り返ると、関西経済にとって平成は「地盤沈下が続いた時代」であった。令和の時代は、平成の経験を踏まえ、①災害に強いインフラ整備、②資産価格動向への注意と適切な対応、③万博の成功とレガシー形成、④関西広域連合の更なる活用、⑤次世代の新産業の創出、⑥性別・年齢・国籍等を超えた人材の登用、等を進めることで、関西経済の底上げを図る必要がある。
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