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わが国企業のESG(環境・社会・ガバナンス)側面の取組み調査

2019年06月19日 ESGリサーチセンター


 日本総研では、ESG投資を実践する機関投資家(アセット・オーナーおよび運用機関)に対する企業のESG情報1999年度から提供しています。また、2003年度からは、その一部としてアンケート調査も行っています。その主軸はESG取り組みによる業績・競争力の向上に関する調査です。これはESG側面の取り組みをいかに業績・競争力につなげようとしているかという視点から、「トップメッセージ」「中期経営計画」における位置付けを評価するとともに、「社会的課題の解消と業績・競争力向上を両立させる製品・サービス」、「ステークホルダーへの配慮と業績・競争力向上を両立させる取り組み」を評価するものです。

 近年、この視点からの調査には機関投資家の関心がますます高まっています。ESG投資を実践する機関投資家は、ESG側面に優れ、かつ、その取り組みが長期的な企業業績の伸長にもつながる投資を求めています。そのためESG側面の取り組みの多寡による伝統的な調査からESG取り組みによる業績・競争力の向上に関する調査へと関心が移ってきているのです。

 数多いESG側面の中でも、引き続きSDGs(持続可能な開発目標)への機関投資家の関心は高いものと想定しています。SDGsは国連の採択した持続可能な開発目標として掲げられた17の分野で、ESG側面に関する企業と投資家との間の対話の糸口として定着しつつあります。ただしこちらも目標達成を重視するあまり、競争力が低下する事態を投資家は懸念します。また従来からのCSRの取り組みをSDGsの各目標を後付けするという企業行動も好ましく考えません。あくまでSDGsは対話のきっかけとして用い、企業がその取り組みを通じて業績・競争力につなげられるというストーリーを示すことを望んでいます。

 また、近年のコーポレートガバナンス改革の進展に伴い、ESG側面の開示はストーリーのみならず、より具体的な活動内容の記述が求められる傾向が一層強まると想定しています。ストーリーの開示は統合報告書の発行企業増加に伴い一般化してきていますが、そのストーリーを実現するための体制面にも注目が集まりつつあります。企業理念や経営理念の実行にあたり、最適な人材を経営トップへ登用できる仕組みが整備されているかどうか、というのはその一つの視点です。またストーリーの実現には社会的なニーズをスピーディーに汲み取り、それを商品やサービスとして具現化するための機敏な意思決定の仕組みや人材マネジメント等にも競争力向上に寄与すると考えています。

 一方、近年増加している企業不祥事について表層化する前に、いかにして早期にその芽を摘むか、または予防するかも企業のESG取り組みを評価する上で重要です。企業不祥事は実際の財務的な影響がそれほど大きくない場合でも、やはりレピュテーションの毀損は避けられないケースは多いためです。

※以下のリンク先には、東証1部上場企業などを対象としたアンケート質問票(回答期限:2019年8月30日)が掲載されています。なお、この質問票の掲載は2019年9月末までです。

アンケート質問票はこちらからダウンロードして取得できます。
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