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定年後こそ、キャリア自律の好機

2018年06月26日 辻本まりえ


 最近では、キャリアの自律性が尊重され、働き方やキャリア形成の多様性、自由選択が認められるようになった。例えば、転職、副業、プロボノ活動、テレワーク、在宅ワークなどが普通のこととなった。また、そういった個人のキャリアの自律性を後押しする新しい働き方を提供する会社が業績を伸ばしているという。こういった風潮は、女性の社会進出やIT技術の発展などの社会の変化に伴い、徐々に醸成されてきたのだろう。

 かつての日本企業では、被雇用者は雇用者側の定めるキャリアのレールに従い、定年退職まで一社で働き続ける終身雇用制度が一般的であった。そのため、いったん就職してしまえば、被雇用者が自主的にキャリアを選択する機会が滅多になかった。こうした終身雇用の時代に青年時代・現役時代を過ごした世代が、現在、定年退職期を迎えている。定年退職後の自由な時間の使い方を自ら選択できず、「どこに行ったらよいのかわからない。」「どう過ごしたら良いのかわからない。」と、行き場に迷うという声をよく耳にする。こうした問題は、雇用者側が敷いたレールに従うだけの終身雇用制度により、主体的にキャリアを選択する経験や機会が乏しいことに起因するのだろう。

 しかしながら、見方を変えると定年退職は好機と捉えることができる。定年退職は、雇用者側から言われるがままの働き方に終止符を打つタイミングでもある。つまり、これ以降は自分で主体的にキャリアを選択、形成していかなければならない。図らずも、個々人の状況を後押しするように、世の中はキャリア自律性を尊重する流れにある。これは、まさに定年退職を迎えるタイミングこそ、主体的なキャリア選択をスタートするチャンスであるといえる。外部環境と、自身の状況がちょうどマッチングするタイミングを積極的に活用し、続・現役世代としてキャリアの自律に向けた一歩を踏み出してはどうか。

 キャリアの自律を目指すというのは、これまで自分でキャリア選択をしてこなかった世代にとっては初めての挑戦となろう。しかし、キャリアの自律が尊重される現代社会では、年齢にかかわらず能力やスキルがマッチすればさらなるキャリアを築くことは十分可能である。また、キャリアの自律が尊重されるからこそ、加齢に伴う身体の変化などに応じた働き方を選択することも可能である。シニア世代が続・現役世代としてのキャリアを選択することで、人材不足の解消や健康寿命の延伸にもつながるだろう。
 シニア世代が社会に必要とされながらいきいきと暮らしていくためにも、続・現役世代にふさわしい、シニアのキャリアの自律を推進していくことがいま必要とされている。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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