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わが国企業のESG(環境・社会・ガバナンス)側面の取組み調査

2018年06月05日 ESGリサーチセンター


 日本総研では、ESG投資を実践する機関投資家(アセット・オーナーおよび運用機関)に対する企業のESG情報1999年度から提供しています。また、2003年度からは、その一部としてアンケート調査も行っています。その主軸はESG取組みによる業績・競争力の向上に関する調査です。これはESG側面の取組みをいかに業績・競争力につなげようとしているかという視点から、「トップメッセージ」「中期経営計画」における位置付けを評価するとともに、「社会的課題の解消と業績・競争力向上を両立させる製品・サービス」、「ステークホルダーへの配慮と業績・競争力向上を両立させる取組み」を評価するものです。

 近年、この視点からの調査には機関投資家の関心がますます高まっています。ESG投資を実践する機関投資家は、ESG側面に優れ、かつ、その取組みが長期的な企業業績の伸長にもつながる投資を求めています。そのためESG側面の取組みの多寡による伝統的な調査からESG取組みによる業績・競争力の向上に関する調査へと関心が移ってきているのです。

 数多いESG側面の中でも、昨年に引き続きSDGs(持続可能な開発目標)への機関投資家の関心は高いものと想定しています。SDGsは国連の採択した持続可能な開発目標として掲げられた17の分野で、ESG側面に関する企業と投資家との間の対話の糸口として定着しつつあります。ただしこちらも目標達成を重視するあまり、競争力が低下する事態を投資家は懸念します。また従来からのCSRの取組みをSDGsの各目標を後付けするという企業行動も好ましく考えません。あくまでSDGsは対話のきっかけとして用い、企業がその取組みを通じて業績・競争力につなげられるというストーリーを示すことを望んでいます。

 また今年のコーポレートガバナンス・コードの改訂に伴い、ESG側面の開示はストーリーのみならず、より具体的な活動内容の記述が求められるようになると想定しています。ストーリーの開示は統合報告書の発行企業増加に伴い一般化してきていますが、監督に携わる取締役会が経営層・現場から語られるストーリーそのもの、および実際の活動との整合性を判断する素養があるかどうか、というのはその一つの視点です。各社のコーポレートガバナンス報告書の取締役会評価に関する記述では、必ずしもESG側面に関するものが多いとは言えず、取締役会においてESG側面が実際にどう取り扱われているか情報開示の期待が高まっていると考えた方がよいでしょう。また、コーポレートガバナンス・コードの改訂版の中には企業年金における専門性向上についての原則が追加され、事業活動だけでなく財務活動においてもESG側面の考慮が求められるようになると考えています。

※以下のリンク先には、東証1部上場企業などを対象としたアンケート質問票(回答期限:2018年8月24日)が掲載されています。なお、この質問票の掲載は2018年9月末までです。

アンケート質問票はこちらからダウンロードして取得できます。
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