例えば、欧米では「ギャップ・イヤー(Gap year)」という大学や大学院が始まる前に1,2年入学を延期できる制度があり、学生は多様な経験を通じて進路選択に活かしている。ギャップ・イヤーをウガンダの学校で過ごしたある学生は、現地でスポーツや音楽の大切さを知り、エクソン・モービルへアプローチして同社と共同で備品購入ファンドを立ち上げ、学校にスポーツや音楽に関する備品を寄付する活動を行った。この学生は大学入学後、国際開発学でアフリカのベンチャー支援に取り組んでいる。また、オセアニアにおいても、ギャップ・イヤーの一種として「OE(Overseas Experience)」が普及している。 NPOの勤務経験から、現実の社会を知ることもできる。アメリカの新卒の就職ランキング上位には、全米の学校に1年間派遣される「ティーチ・フォー・アメリカ(Teach for America)」がある。ITエンジニアには、地方自治体に1年間派遣されITで課題解決する「コード・フォー・アメリカ(Code for America)」が大人気だ。派遣終了後も地域に残り、貢献するメンバーも多くいる。 さらに、サムスンを初めとした韓国企業は「地域専門家制度」を通じ、他国の未進出地域に社員を派遣し、1年間徹底的にその地域の言語・文化・習慣を熟知させ、地域に深く入り込む人材育成・市場開拓を行う。重要な点は社員が現地の人々と信頼を築き、彼らの生活習慣を理解することだ。これにより自社による課題解決の糸口を見つけられる。