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【シニア】
第19回 ギャップシニアコンソーシアムを総括する ~これまでの活動と今後~

2017年03月28日 齊木大


 ギャップシニアコンソーシアム設立から、2年半が経過しました。このコンソーシアムが目指しているのは、高齢者と企業をつなぐ新たな商品・サービスの流通と開発のプラットフォームの構築です。
団塊世代が70歳代に入り、「ギャップシニア」に該当する高齢者数が劇的に増える2020年代を見据えると、人口減少・高齢化が進む国内B2C市場では、消費者と企業の関係性が大きく変化し、コミュニティに密着して多様なニーズに幅広く対応できる顧客接点を持つ企業が生き残るでしょう。もちろん高齢者であってもITの利用が進みますし、地方部を中心にコストの観点からインターネットを介したグローバルな流通形態が占める割合も大きくなる側面はあります。
しかし、その一方で、ギャップシニアの意識・行動を踏まえると、地域密着でアナログなチャネルの重要度が増すと考えられます。私たちが構築しようとしているプラットフォームは、まさにこの新たなチャネルの形なのです。

 これまで、現場で顧客接点を持つ企業・法人のご協力のもと、2つの機能の検討・検証に取り組んできました。これは、ギャップシニア向けのB2Cの新たなチャネルとしての「地域プラットフォーム」と、シニアが集まる場を活かした商品開発である「リビングラボ」の2つです。
 一点目の「地域プラットフォーム」とは、地域のギャップシニアとの接点をつくり、一人ひとりのニーズを掘り起こし、商品・サービスの情報提供や紹介・提供を行う、いわば「民間版地域包括支援センター」です。
これまでの実証で明確になった「地域プラットフォーム」の重要なポイントは、単に接客して情報を提供するのではなく、相手のニーズに踏み込んで、高齢者自身の意向や課題を形にする「かかわり」にあります。具体的には高齢者との日常的な接点・会話を通じて、少しずつその人が持つニーズを形にするという運営方法がほぼ確立できました。
 こうした顧客コミュニケーションは、B2Bの商品単価が高い営業では実践されていますが、これをB2C、それもギャップシニア向けにも適用できることが見えてきました。今後は、把握されたニーズに応え、情報を提供し、紹介できるメニューの拡充に重点を移していきたいと考えています。

 二点目の「リビングラボ」とは、より消費者の視点に立った改善やイノベーションを実現するため、商品・サービスの開発プロセスに高齢者も参加し、試行錯誤を進めるという、新事業開発のプロセスにおけるオープンイノベーションの手法です。これまでの検証を通じて、特に商品・サービス開発の上流段階、つまりニーズ探索とコンセプト構築の段階で特に優位性を発揮することを確認できました。
こちらについては、今後は、東京大学高齢社会総合研究機構(IOG)と連携しつつ、複数企業間のコラボレーションの促進と、国際競争力のある評価・検証スキームの開発を進めていきたいと考えています。

 ここまでに触れたように、今後のギャップシニアコンソーシアムは、仕組みのあり方を研究・検証する段階から、プラットフォームを活用したオープンイノベーションの推進に軸足を移していきます。
来るべき長寿社会を豊かなものにするため、特にギャップシニアに訴求力のある商品・サービスを持つ企業、コミュニティに着目した新事業開発にチャレンジしたい企業の皆さまとの連携を増やしたいと考えています。「ギャップシニア時代」に向け、プラットフォームを実装し、成熟させていきましょう。


記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


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