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イノベーション人材育成に必要なもの

2017年03月28日 井熊均


前回のメルマガで紹介した東大とのシンポジウムは、300名以上入る東大の大教室が満席となり、盛況のうちに終わることができました。シンポジウム終了後に開催した懇親会でも何十人もの方のご参加をいただき、時間を忘れて議論を交わすことができました。お忙しい中、シンポジウム、懇親会にご参加いただきました方々に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

シンポジウムや懇親会を通じて改めて理解したのは、非常に多くの方がイノベーション人材を育てることの重要性を感じられていることです。具体的な人材育成の取り組みを行っている企業も少なくありません。しかしながら、「これだ」、と言える人材育成の方法を見出した企業は殆どないのが現状のようです。

「イノベーション人材は素養や幼少期の経験に依存する」という意見を聞くことがあります。本当でしょうか。他の人にはできない付加価値の高い事業や活動を立ち上げるのに一定の素養が必要なことは否定しません。しかし、この手の話は二つの事実を見落としていると思います。

一つは、スポーツ、音楽、絵画、財務などの知識、等、分野を問わず、適切な知識に基づくトレーニングを一定期間こなしても向上しないスキルや知見など聞いたことがない、ということです。問題は適切な知見に基づくトレーニング方法と一定期間それをこなした人が稀有だったことではないでしょうか。

もう一つは、我々はスティーブジョブズのような人材を育成できると言っている訳ではない、ということです。企業が人材育成の対象としているのは身近なイノベータです。そうした人が何人もいれば企業は付加価値を高めることができます。また、身近なイノベータを育てる努力を続けていけば、いずれはジョブズも頷く大型のイノベータも生まれるでしょう。

今必要なのは、イノベータの育成に関する神話や諦めの壁を取り払い、個々人の持つ可能性を信じる意志なのだと思うのです。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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