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アメリカ大統領選の結果を真摯に受けとめる姿勢が大事

2016年11月22日 井熊均


 アメリカ大統領選で大方の予想を裏切ってドナルド・トランプ氏が次期大統領となることが決まりました。今回の選挙で問題なのは、政治、行政、アカデミア、あるいはシンクタンクに勤務している人達が「こうあるべき」と考えている方向と、一般の人達が「こうなって欲しい」と思っている方向に大きなずれがあったことだと思います。

 グローバリズムや自由化は確かに経済を成長させたと思いますが、一方で格差が拡大し、競争の犠牲者を出したことも否定できません。Winner takes all. という言葉のように、勝者が巨万の富を手にする傾向が強まれば、奪われる人の数も多くなります。その比率が経済成長を上回れば、奪われた側はグローバル化や自由化が進む前よりも貧しくなるでしょうし、格差は途方もなく広がったように見えるでしょう。

 選挙の前後、アメリカのラストベルトで工場が閉鎖され職を失い家族が離れ離れになった男性の姿が放映されていました。日本を含む多くの国が同じような状況を抱えており、具体的な解決策を見いだせていません。こうした人達の苦境に具体的な解決策を示すことなく、マクロでのグローバル化や自由化の意義を唱えていると、いずれ意識のギャップは埋めがたい深さに達してしまうと懸念します。

 残念だと思うのは、選挙後も、こうしたギャップに触れることなく、トランプ氏の主張の問題点の指摘に終始する声があったことです。中には、トランプ氏の政策が上手く行かないことを望んでいるかのような声もありました。どのような選挙であれ、選挙の結果は国民の声であり、その裏にある社会の問題を真摯に見つめなくてはいけない、という姿勢を忘れるべきではないのだと思います。


※メッセージは、執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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