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副業・兼業の緩和を中高年男性の活躍推進の鍵に

2016年11月08日 小島明子


 2016年9月27日に、総理大臣官邸で第1回「働き方改革実現会議」が開催されました。このなかで、安倍総理は、今後取り上げる9つのテーマについて言及し、そのうちの1つに「テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方」が盛り込まれました。テレワーク等の普及に伴い、勤務場所や勤務時間を柔軟に選択し、働くことが可能になれば、副業や兼業を行うことも可能になるという意味で、このふたつは相互に結びついてもいます。
 既に、一部の企業では、副業や兼業をいち早く緩和する動きも出てきています。それらの企業がこうした緩和を進める理由としては、社員が副業や兼業で新たに得られた経験、スキル、技能、人材ネットワーク等が本業にも好影響を与えるとの期待があると考えられます。

 日本総合研究所が東京圏に勤務する40代~50代の男性管理職516人を対象に実施したアンケート調査(以下「アンケート調査結果」)によれば、多様な働き方に向けて、企業に求める制度を尋ねたところ、「業務量や働く時間を調整できる仕組み」(41.7%)が最も多く、続いて「副業・兼業規定の緩和・容認」(34.3%)が挙げられていました。副業・兼業への要望を持つ中高年男性が一定割合存在していることが明らかになっています。

 では、中高年男性にとって、副業・兼業の緩和がもたらすメリットとは何でしょうか。
 1つ目のメリットとしては、中高年男性が新たに活躍できる場を獲得できるということが挙げられます。「アンケート調査結果」のデータによれば、「今後のキャリアを変えることは、できないと感じている」と回答した男性管理職は約6割に上り、定年まで現在の企業に勤めることを考えている男性管理職のうち、定年後も現在の企業に勤め続けたいと回答した男性管理職は約7割に上っていることが明らかになっています。定年を迎えた後も同じ組織で働き続けたいという思いのなかには、年齢的に新しいことに挑戦することを難しいという思いや、諦めがあるのではないでしょうか。
 もちろん、退職して一から起業することには大きなリスクが伴います。しかし、副業や兼業ができれば、会社を辞める必要はなく、中高年男性であっても、新たな挑戦へのハードルは低くなるといえます。今後、副業や兼業が可能な企業が増えれば、中高年男性であっても、今までの経験やスキルを活かし、社外で活躍の場を増やすことが可能になるでしょう。なかには、起業や転職のきっかけにする人も出てくると考えます。

 2つ目のメリットとしては、中高年男性が新たな人間関係を構築できるということが挙げられます。OECD「Society at a Glance 2005」によれば、家族以外の友人、同僚、その他の人々と、日頃、交流をしていない人の割合が最も高いのは日本だという調査結果があります。副業や兼業が可能になれば、自然と職場以外の人と触れ合う機会も増えてくるでしょう。中高年男性のなかには、本来の職場で出世や昇進といった競争が厳しく、人間関係に悩んだり、孤独感に苛まれたりするひとも少なくありません。日頃から社外で新たな人間関係を作り、職場以外の居場所づくりをしておくことは大切なことだといえます。

 このように、副業・兼業の緩和は、中高年男性の活躍につながるのはもちろんのこと、今後、これを契機に、新しいビジネスを興し、大きな成功を収める中高年男性をわずかでも生み出すことができれば、それは日本社会・経済に大きく貢献するといえるのではないでしょうか。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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