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イギリスのEU離脱とグローバリズム

2016年06月28日 井熊均


 イギリスがEUを離脱することになりました。世界中が、「可能性としてはあり得ても、まさか実現しまい」、と思っていた政策をイギリスは選択したのです。EUを離脱することのリスクはイギリスの人達も分かっているでしょうから、残留のメリットをもってしても許容できない不都合をEUに感じていたことになります。地球の裏側にいる我々には理解し切れないストレスがあるのでしょう。

 アメリカの大統領選についても、これまでにはない民意が選挙の行方に大きな影響を与える可能性があります。イギリスのEU離脱とアメリカの大統領選の背景にあるのはグローバリズムへの反発とされます。世界の国々が経済、文化、安全などの面で強調し合うためのグローバルな交流が必要であることは多くの人が認めるところです。しかし、自由主義陣営の盟主とも言えるアメリカとイギリスで、これだけ国民の反発の声が露わになったのですから、グローバル化の進め方をもう一度考える必要があるのではないでしょうか。反発が世界中に広がれば、グローバル化の果実自体が削がれてしまうことになりません。

 個人的にグローバル化の必要性を疑ってはいません。しかし、グローバル化の必要性を主張する声の中に、様々な懸念の声に真摯に耳を傾けようとする姿勢を欠いた面が少なからずあったことは否定できません。イギリスやアメリカと反発と根を同じくする声は日本の中にもあります。

 当面の課題はイギリスの離脱の影響を最小限に抑えるための経済、政策面の取り組みです。しかし、事態がある程度落ち着いてから求められているのは、グローバル化への懸念の声に真摯に耳を傾ける姿勢なのではないでしょうか。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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