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CSRを巡る動き:企業に求められる高齢者の活躍支援

2016年03月01日 ESGリサーチセンター


 安倍政権では、年齢や性別、障がいの有無を問わず、誰もが活躍できる社会を目指すために、「一億総活躍社会」を掲げています。2015年11月に纏められた「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」のなかでは、「生きがいを持って社会参加したい高齢者のための多様な就労機会の確保、経済的自立に向けた支援」を施策の柱とした上で、「高齢者が安心して働き続けられる環境をつくる企業、NPOや起業の支援する」などが挙げられました。

 2013年4月以降、改正高年齢者雇用安定法が、65歳までの希望者全員を雇用することを企業に義務付けたことはよく知られています。ただ、興味深いことに、同法の高年齢者の定義は「55歳以上の者」となっています。独立行政法人労働政策研究・研修機構「高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関する調査」(2013)によれば、この法改正で、約8割の企業が「60歳~64歳までのいずれかの年齢による定年」と、「定年後の継続雇用制度」を導入したことが示されています。継続雇用制度を導入した1,000人以上の大企業の約8割では、継続雇用者を嘱託・契約社員・パート等で雇用しているといいます。

 一方で、日本は世界保健機関(WHO)や他の先進国と同じく、65歳以上を「高齢者」と定義しています。文字面だけから判断するなら、政府は、65歳までの継続雇用制度導入からさらに踏み込んで、65歳以上の人も安心して働き続けられる環境づくりを企業に求め始めたといえるでしょう。

 では、具体的に、どのような取り組みが企業には考えられるでしょうか。本稿では、2つの取り組みを取り上げます。
 1つ目は、体力や時間に制約の出てくる高齢者を許容する職場環境や条件整備が挙げられます。高齢者は、視覚、聴覚、運動能力などが衰えてくるため、今までと同じ仕事を行うためには、照明等機器や職場のレイアウトの改善など物理的な環境改善が必要になります。働く時間についても、体力や配偶者等の介護などの事情から、制約が出てくる可能性があります。時間に制約のある人材に向いた仕事の提供や、従来の作業分担の見直しなどの工夫を行うことなどが挙げられます。これらの取り組みは一時的には手間もかかり、コストになるように見えますが、高齢者だけではなく、女性など多様な人材を受け入れる環境づくりにもつながるといえます。
 2つ目は、現役世代に向けた多様なキャリアの選択肢の提供が挙げられます。株式会社日本総合研究所が2015年3月に実施した「女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査」によれば、多様な働き方に向けて、40代~50代の男性管理職のうち、約3から4割が、「業務量や働く時間を調整できる仕組み」や「副業・兼業規定の緩和・容認」を希望していることが明らかになっています。高齢者が経験や能力を社会のなかでより活かすためには、「ひとつの企業でただ定年を待つ」以外の選択肢を増やしていくことが有効です。現役世代のうちから、将来の起業準備につながるような活動を容認するなども、将来の高齢者の活躍推進につながると考えられます。

 高齢化が世界で一番進む日本において、多くの企業が高齢者の活躍を実現できれば、海外企業からもロールモデルとして取り上げられる日も遠くはないのではないでしょうか。
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