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東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果(報告)

2015年11月18日 ESGリサーチセンター


■調査の概要
 株式会社日本総合研究所は、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の大学又は大学院を卒業した、いわゆる高学歴の女性に焦点をあて、働き方等に関するアンケート調査を実施。
 本調査において、東京圏で暮らす、いわゆる高学歴の女性を対象として取り上げた理由は主に以下2点。
・第1の理由は、東京は、大学の数・大学生の数ともに47都道府県の中で最多であり 、かついわゆる有名大学をいくつも抱えているからである。なお、都内の大学・大学院を卒業した、いわゆる高学歴な女性は、卒業後の主な進路として、東京に本社を置く企業を選ぶ場合が多いと想定される 。
・第2の理由は、女性の就業を巡る状況は、日本国内において有意な地域差が存在しているが、結婚・出産時期の離職率の高さ(年齢階級別の労働力率または有業率曲線にみられる「M字カーブ」の谷の深さ)、出生率の低さなど、東京圏は特に課題が山積している地域だと考えられるからである。

■調査の実施方法
・調査期間および実施方法:2015年3月24日から3月31日にかけてウェブ調査により実施。
・調査対象:東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の大学又は大学院を卒業した25歳から44歳の女性を対象とし、就業者の場合は、東京都に所在する企業に勤めている女性を対象とした。東京都の年齢階級および就業状態の分布を参考にサンプル割付基準を作成し、株式会社マクロミルのモニター2,064人から回答を受領。
・有効回答数:データのクリーニングの結果、有効回答数は1,828人(内訳:25~29歳(419人)、30~34歳(441人)、35~39歳(494人)、40~44歳(474人)。

■要旨
東京圏で暮らす高学歴女性の就業拡大・登用拡大の余地は依然として大きい
○新卒時点で正規雇用の職に就いた女性のうち、結婚・出産した女性の約8割が正規雇用の職を離れ、うち約6割が専業主婦へと移行(図表2・図表3)。
○大学難易度区分が高くなるほど、正規雇用の割合が高くなるが、最も大学難易度区分の高いグループにおいても、正規雇用比率は48.3%と5割に達しておらず、およそ2人に1人は正規雇用の職に就いていない(図表6)。
○大学難易度区分が高くなるほど、管理職に就く割合が大きくなるものの、最も大学難易度区分の高いグループにおいても、その73.1%は係長・主任等未満であり、役職のあるポジションに就いていない(図表7)。

東京圏で暮らす高学歴女性にとって、正規雇用として働くことと子どもを持つことはトレード・オフの関係にあり、現状の労働慣行・夫婦間の役割分担を維持したまま女性の正規雇用の拡大・管理職登用の拡大を進めれば、更なる少子化を招くおそれがある
○大学難易度区分が高くなるほど晩産化の傾向が強まり、一人当たり子どもの人数も少なくなる傾向(図表10・図表11)。居住エリア別でみても、正規雇用の女性が多く居住しているエリアほど、それ以外のエリアと比べて一人当たりの子どもの人数が少なくなる傾向(図表16)。
○家計の状況について、大学難易度区分の高いグループになるほど、妻の年収が世帯年収に占める割合が増加する傾向がみられるが、最も大学難易度区分の高いグループに属する女性であっても、妻の年収が世帯所得の20%未満の世帯が45.7%を占める。最も大学難易度区分の高いグループに属する女性の場合、およそ4人に1人が配偶者(夫)と同程度の年収を稼いでいるが、世帯年収の60%以上を妻が稼いでいる世帯は全体の7.7%と少なく、妻が主たる生計者を担うことは少ないと考えられる(図表8)。
○夫婦間の家事・育児の分担状況について、第一子出産時点において妻が家事負担の80%以上を担っている世帯が全体の57.7%、妻が育児負担の80%を担っている世帯が全体の62.8%を占めており、家事・育児負担が妻に集中する傾向(図表13)。
○大学難易度区分の高いグループでは、子どもの人数の増加に伴って世帯年収が低下する傾向がみられる(図表9)。大学難易度区分の高いグループに属する女性を中心に、子どもが生まれる/増えることに伴って、主に妻の側において働き方の調整が行われていると考えられる。

女性の内面(労働価値観)に着目した分析の結果、新卒採用以降の職業生活の過程で、長時間労働を含むハードワークに対する許容度合いが大きく低下する傾向が明らかとなった。ただし、ハードワークは許容できなくても、高い金銭的報酬と得たいという欲求や、自分のスキル・能力を発揮したい、自己成長したいという欲求の強い女性は多数存在しており、長時間労働を含むハードワークを軽減させることが、意欲のある女性の活躍促進につながる可能性がある
○労働に対する考え方に関する質問への回答結果から、労働価値観を構成する共通因子を探ったところ、金銭的報酬を含む「外的報酬に対する欲求」、自分のスキル・能力を発揮したい、自己成長したいといった「内的報酬に対する欲求」、長時間労働を含む「ハードワークに対する許容度合い」の3因子が抽出された(4.参考情報の参考②)。
○東京圏で暮らす高学歴女性の多くが、就職活動時点においては、ハードワークは仕方がないと考えているが、その後の職業生活の過程で、ハードワークに対する許容度合いが大きく低下する傾向。一方、「外的報酬に対する欲求」「内的報酬に対する欲求」にはあまり変化がみられない(図表18・図表19・図表20・図表21)。
○管理職に昇進している女性の方が、それ以外の女性よりも、就職活動時点・アンケート回答時点の両方において、ハードワークに対する許容度合いが高い(図表22)。現状では、ハードワークが許容できない限り、管理職に昇進することが難しい状況となっている可能性がある。
○ただし、ハードワークは許容できなくても、「外的報酬に対する欲求」や「内的報酬に対する欲求」が強い女性は多数存在していることから(図表20)、長時間労働を含むハードワークを軽減させることが、意欲のある女性の活躍促進につながる可能性がある。


※調査結果(報告)については、こちらからダウンロードください。
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