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アジアで注目される日本式PPP

2015年06月23日 井熊均


 中国の国家発展改革委員会で顧問の肩書を頂いてPPP(Public Private Partnership)の講師をやっています。日本は1999年のPFI法成立以来400を超えるPFI事業を立ち上げてきた実績があります。一方、中国がPPP後進国という訳ではありません。中国は道路や発電所などの分野で、コンセッション型のPPPの数多くの実績を持っているからです。にもかかわらず、日本のPPPに学ぼうとしているのは、経済成長を遂げた中国では、住民生活を充実させるための事業が必要だからです。

 この点、日本は世界的に見ても胸を張れるだけの経験を持っています。PFIの本家イギリスが国のプロジェクトを中心にPFIを普及させたのに対して、日本では自治体が中心になってPFIを普及させました。その結果、学校、公立病院、一般廃棄物処理施設、斎場、図書館、給食センター、市民センター等々、住民生活に密着した分野で数多くの実績を積み上げてきました。住民向けであるため、日本らしい細やかな配慮や「おもてなし」の気持ちが表現された事業も少なくありません。この点は、並行してイギリスにも学んでいる国家発展改革委員会の人達も評価しているようです。2年前、ADB(アジア開発銀行)の招きで日本のPPPの講演をした時にも同様の評価を受けました。

 AIIBの立ち上げを巡っては国内外で議論がありましたが、中国を含む新興国にインフラ整備の巨大な需要があることは間違いありません。その中には、日本が競争力を持つ住民向けサービスも含まれているのです。政治面ではこの数年、隙間風が吹いた日中関係ですが、日本のサービスに対する人気はむしろ高まる傾向にあります。日本で積んだ実績を中国や新興国で活かす機会を創れたらと思います。


※メッセージは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。


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