コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

介護人材確保のために事業者等が行う効果的な取組みに関する調査研究

2015年04月24日 山田正孝


*本事業は、平成26年度老人健康保健増進等事業として実施したものです。

事業目的
 わが国労働人口全体の減少から人材獲得競争が激化していくにもかかわらず、ケアの提供方法が抜本的に変わらなければ、今後増大する介護需要に対して今後10年間にさらに約100万人の介護人材を確保する必要があるとされている。介護業界における人材確保は、早急かつ継続的に取り組むべき課題である。
 これまでの研究から、人材確保を効果的に行うためには、場当たり的な採用活動にとどまらず、全社的な視点で経営改善を伴う人材確保や定着を推進させることが必要とされている。
 しかし現実には、事業者において、人事採用責任者が全社的な視点を持っていない、または何らかの制約でその方法が推進されていないことが懸念される状況にある。
 そこで本事業では、主として採用に携わる人事採用責任者が、採用を効果的に進めるためのマネジメントノウハウを身に付けるだけでなく、自発的・継続的な経営改善を促すことにもつながるワークショップ型集合研修の開発と、その効果について検討し、とりまとめることを目的とした。

事業内容
 介護人材確保を促すためには、従来の座学型の研修指導といった取り組みだけではなく、事業者自らが人材確保のための経営改善を促すといった、新たな支援方法の開発が必要である。そこで、他業界の民間企業やさまざまな団体で効果を上げているワークショップ型課題解決に着目し、研修プログラムの開発を行った。
 研修プログラムの開発では、介護業界のさまざまな事情等を反映させる必要があり、また研修プログラムが本調査研究事業以降にも持続的に開催されるための仕掛けが必要とされるため、学識経験者および実務者からなる「介護人材確保の推進に向けたワークショップ型集合研修のプログラム開発と効果検証に関する調査研究委員会」を組成し、研修プログラムの開発を行った。
 検討した研修プログラムについては、試行的に研修を開催し、その結果について調査研究員会で効果検証等を実施している。
 本調査研究事業では以下の事項を実施した。
(1)調査研究委員会の設置
(2)研修プログラムの開発
(3)各研修の開催
(4)効果検証と取りまとめ

事業結果
1.成果と課題
(1)研修の成果
 アンケート等による効果検証を実施したところ、人材確保に向けた意識・行動の変革については、本研修を受講したことで目標や必要な具体的取り組みが明確となり、人材確保に向けた具体的なアクションへの移行が推進されたことが明らかになった。また、ワークショップで使用したフレームワークを職場で使用し、別の経営課題に関するワークショップを実際にやってみたという回答や、それらによって職場が改善に向けて動き出している事例の報告も数多く寄せられた。このように、人事担当者が問題解決手法や有効な解決策の知識を身に付けて、実際に経営改善に向けた行動を起こさせるという研修プログラムの狙いは、おおむね実現できたものといえる。

(2)研修の課題
 本研修に参加している間は受講者のモチベーションが持続しているが、グループメンバーとの交流がなくなる研修終了後に、いかにそのモチベーションを維持させられるかが課題である。
 また、本研修時点で設定したアクションプランも、研修以降の進捗状況によってローリングが必要となることが十分に予想される。現状においては、フォローアップの仕掛けが無いため、半年~1年に1回といった頻度でフォローアップすることが望まれる。

2.今後期待される取り組み
(1)事業者団体主催による地域開催
 今回検討した研修プログラムは、問題解決の考え方を身に付けて自発的な経営改善を促すことに一定の効果があったものと認められ、今後はさまざまな地域で展開されることが望まれる。
 また、前述のとおり、受講者の近隣で開催されることにより、ワークショップ型集合研修への継続的な参加がしやすくなり、受講者の高いモチベーションの維持やアクションプランのローリングも実現可能となる。
 ワークショップ型集合研修をさまざまな地域で継続的に展開するには、各介護事業者団体が研修主催者となって推進することがふさわしいと考えられる。

(2)ターゲットを多様化したワークショップ型集合研修の開発
 今回の研修プログラムでは、最も研修効果が高いと想定される正規雇用職員200名前後の事業者をターゲットとし、研修内容を企画している。
 しかしながら、介護業界においては小規模事業者が多くを占めており、介護人材確保の問題はやはり深刻である。したがって、小規模事業者向けのワークショップ型集合研修の開発も必要となる。
 また、大規模事業者においては、法人内研修としてワークショップ型課題解決の手法を用い、経営課題解決を促進させるといった展開方法も考えられる。
 研修のターゲットを多様化することは、業界全体の人材確保に寄与することにつながるため、研修内容の進化が求められるところである。

(3)業界内・事業者内におけるコーディネーターの育成
 ワークショップ型課題解決を円滑に実践するためには、ファシリテーションスキルを有したファシリテーターが必要となるが、本事業では外部の専任ファシリテーターには委託していない。本事業では、本研修の前に介護業界の人材に対してファシリテーション研修を実施し、ファシリテーション研修受講者をワークショップ型集合研修のファシリテーターとして運営している。
 ワークショップの運営、ファシリテーションの実践を通じた各事業所そして業界全体の経営改善の促進を期待し、本事業ではこれらの役割を担う人材を「コーディネーター」と位置づけた。
 今後、介護業界においてコーディネーターを育成し、自立的に問題解決を推進する人材が増えることで一層の経営改善が進むものと期待される。

※詳細につきましては、下記の報告書本文をご参照ください。
介護人材確保のために事業者等が行う効果的な取組みに関する調査研究事業【報告書】

本件に関するお問い合わせ 
総合研究部門 シニアマネジャー 福田 隆士
TEL: 03-6833-5201   E-mail: fukuda.takashi@jri.co.jp
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
IKUMA Message
カテゴリー別

業務別

産業別

レポートに関する
お問い合わせ