2014年05月07日
各位
株式会社日本総合研究所
中国南方5省を対象とした分散型エネルギーシステム展開を目的とした技術事業検討会の立ち上げについて
~日本企業と中国第二の送配電会社南方電網との共同研究~
株式会社日本総合研究所(本社: 東京都品川区、代表取締役社長: 藤井順輔、以下「日本総研」)は、中国南方電網総合能源有限公司(注1)および先進的な分散型エネルギーシステム技術を提供する日本企業と共に技術事業検討会(以下「本検討会」)を組織し、中国南方5省(注2)に最適な分散型エネルギーシステムの検討活動を2014年4月から始めました。本検討会では、中国南方5省における分散型エネルギー市場進出を念頭に、各社が強みのある技術・設備を持ち寄り、中国南方5省に適した分散型エネルギーシステムの検討を行います。
背景: 中国で設置計画が進む天然ガス分散型エネルギーシステム
深刻な大気汚染に悩む中国政府は、その大きな原因の一つである石炭の消費量を削減し、代わりに大気汚染物質の排出が少ない天然ガスへの転換を進めようとしています。既に、数多くの天然ガス発電設備の設置が計画されており、例えば、国家発展改革員会では2020年までに5000万kW分(現在の約10倍。なお、日本における2030年までの導入目標は3000万kW)を、国務院でも2015年までに1000箇所で導入する計画です。
ただし、天然ガスには石炭に比べ発電コストが高いという欠点があります。そのため設置計画が進められる天然ガス発電設備は、分散型エネルギーシステムに対応したものが主となっています。大規模集中型とは異なり、需要家の近くに発電機を設置する分散型には、①従来捨てられていた、発電時に発生する熱を給湯や空調、蒸気などの形で地域の家庭や工場等で有効利用できる、②送配電ロスが少ない、③地域自身でエネルギーセキュリティを確保できる、などコストをはじめとしたメリットがあるからです。
本検討会の活動内容
本検討会では、分散型エネルギー事業について、日本の先進的な技術とノウハウの活用を前提に、中国南方5省での標準システムおよびビジネスモデルを検討します。
日本では既に導入が始まっている、工場や地域冷暖房などにおける分散型エネルギーシステムが中国で普及する可能性を評価するために、日本と中国の市場特性、産業の構造、技術を比較検討した後、業界別に分散型エネルギー導入のニーズと採算性を分析します。
最終的には、南方電網総合能源有限公司が展開する中国南方5省において、分散型エネルギー事業を軸に、省エネルギーサービスまで含めた総合エネルギー市場への参入を目指します。
参画企業
本検討会には、工業計器や制御システムを中心に事業を展開する横河電機、BEMSなどのエネルギーマネジメントシステムを展開するNEC、省エネルギーサービスや海外でのコンサルティング事業を展開する東京電力、重電機器や環境システムなどを手掛ける明電舎をはじめとしたエネルギーシステム関連企業が参加します。各社は強みのある技術・設備を持ち寄って、中国南方5省に適した分散型エネルギーシステムの検討を行います。
注1: 南方電網総合能源有限公司
南方電網(※)が2010年に設立した子会社として、省エネルギーや再生可能エネルギー、分散型エネルギーを推進している。2013年11月29日、日本総研と分散型エネルギーおよび省エネサービスの技術と事業を検討する覚書を締結した。
南方電網総合能源有限公司ホームページ:http://ny.csg.cn/
(※)中国南方電網
国家電網に次ぐ中国第二の送配電会社として、中国南方5省で送電・変電・配電を行う国営企業。
南方電網ホームページ:http://www.csg.cn/
注2: 中国南方5省
中国の南部に位置する、広東省、広西壮族自治区、雲南省、貴州省および海南省の5省で構成されるエリア。面積は100万平方キロ(中国の面積の10.4%)、人口2.3億人(全人口の17%)。
本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】
広報部 山口 直樹 電話: 03-6833-5691
【一般のお客様】
創発戦略センター 瀧口 信一郎 電話: 03-6833-6400