コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経営コラム

オピニオン

新興国の現地企業との相互理解の大切さ

2013年06月11日 副島功寛


日本企業の海外展開が、円安傾向下でも加速しています。アジアでは、2015年の経済統合を控えたアセアンの主要国、タイ、インドネシア、ベトナムから、ミャンマー、カンボジア、ラオスといったメコン地域の国々にも進出の裾野が拡大しており、巨大市場中国で潮目が変わるまでの間、アセアン周辺での基盤固めが進むと思われます。この旺盛な需要を取り込むべく、現地企業は、開発計画を進めています。

一見、マクロでは需給が一致しており問題ないかのようですが、現場ではいくつかのハードルがあると感じています。

一つ目は、現地側の体制です。現地企業は急成長中であるため、実務を担うコア人材が不足しています。開発事業では現地事業者の信用力や政治力等が求められますが、要件を満たせる企業は限られ、引き合いが殺到しています。日本側が期待するスピード感で事業が進みにくい環境があります。

二つ目は、現地側と日本側双方のノウハウ不足です。今の立地企業のニーズに応えるには、現地側に現状を上回るノウハウが必要です。例えばタイのように、コスト面で見劣りする国の企業は新しいコンセプトに挑戦する必要がありますが、ノウハウはありません。日本側も、商習慣の違いや公的機関が開発を主導してきた日本の事業環境に慣れてしまっているため、ノウハウが不十分です。

三つ目は、社会事情です。現地の社会制度が未熟であり、認可取得に絡むステークホルダーの合意形成が難しくなっています。

こうしたハードルを超える際、重要なのは、相互に課題を共有できる環境を維持することだと考えています。交渉に近いシーンも多く、相手の実態が見えにくいこともありますが、双方の課題を共有できれば、例えば現地側が、体制強化や、現地事情によるスケジュール調整も提案してくれます。日本側も現地との共有認識があれば、自分達が提供すべき価値が見えてきます。

現地企業と日本企業による事業では、まずフロントで現地と対峙する人が、現地と課題を共有できる素養を持ち、柔軟に解決方策を提案できることが重要だと感じています。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
経営コラム
経営コラム一覧
オピニオン
日本総研ニュースレター
先端技術リサーチ
カテゴリー別

業務別

産業別


YouTube

レポートに関する
お問い合わせ