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各国各様の東南アジア新興国

2012年02月15日 中村恭一郎


力強い経済成長、人口増加、急速に進む都市化。いずれもアジア新興国に共通するキーワードです。最近は東南アジアの国々へと足を運ぶことが増えましたが、街中で進む高層ビル建築や街の人々のエネルギッシュな雰囲気に触れると、「国が成長しているというのはこういうことなんだな」といつも感じます。

こうした新興国でエコシティやスマートコミュニティのような複合型市場に日本企業が参入する際には、政策や企画などの「上流」へのアプローチが必要だと言われます。これは今ではかなり広まった認識であると思いますが、今回、私が提言したいのは、「上流」というのは各国各様である、ということです。

例えば、中国では、政治・行政のトップダウンによる意思決定が強く、スピード感があります。上流工程でライトパーソンにアクセスできれば、川下まで一気に物事が決まることも多い、という特徴があります。

一方、東南アジアに目を向けると、同じアプローチで進めることは容易ではありません。これらの国々では行政構造が細分化されており、一つのテーマに対して多くのステークホルダー(組織や人)が関与しています。そのため、物事を決めるためにはステークホルダーの意向を一つ一つ丹念に拾い、まとめあげ、合意を図ることが必要です。また、トップダウンで物事を決めることが必ずしも歓迎されるわけではありません。エコシティであれば、そこに住む人々が望むこと(ニーズ)を明らかにし、場合によっては新たに創出し、そのニーズに立脚した開発コンセプトやプロジェクトを考案し、提案していかなければなりません。

つまり、東南アジアでのプロジェクト獲得においては、多様な現地ニーズという「上流」へのアプローチを成功させる必要があります。このためには、ボトムアップ的なアプローチや現地でのコーディネート力が重要であり、中国における以上に現地でのネットワーク構築やローカルインテリジェンスの蓄積が不可欠です。日本企業でも、地域拠点の強化や現地化を進めることでこうした要請に対応する動きが見られます。これらの動きが、各国各様の「上流」の見極めや、そこへの最適なアプローチの検討につながれば、アジア新興国でのビジネスチャンスも大きく広がると信じています。


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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