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2012年米欧経済見通し
~高まる下振れリスク~

2011年11月25日

【要 約】

1.米欧経済は、欧州債務問題の深刻化に伴い下振れリスクが増大。

2.ユーロ加盟国は、欧州債務問題に対する「包括戦略」で合意したものの、有効に機能するかは不透明。また、欧州各国の緊縮財政が景気下押しに作用し、むしろ財政再建の実現性への懸念を増幅させるという悪循環に。金融危機回避にはECBによる大規模な国債購入が不可欠。なお、政策面からの景気浮揚が困難な状況は、米国も同様。

3.米国では、オバマ大統領が大規模な景気対策を打ち出したものの、議会における政治的対立が深まるなか、実現は不透明。財政赤字・債務残高ともに悪化が顕著であり、財政赤字削減に向けた取り組みが不可避な状況。金融政策についても、実体経済の押し上げや欧州債務問題の根本的な解決には力不足。

4.以上の状況のもと、米欧景気の先行きについて、ポイントとなる点は次の通り。
(Ⅰ)米国
(ⅰ)バランスシート調整: 家計の過剰債務解消には、なお時間を要するとみられ、借り入れを伴う消費・住宅購入の力強い回復は期待薄。住宅市場においても、価格下押し圧力が根強く残る見込み。
(ⅱ)雇用の構造問題: スキル・技能のミスマッチや失業期間長期化に伴うスキル低下が雇用回復を阻害。雇用の増加は先行きも緩やかなペースにとどまる見込み。
(ⅲ)新興国向け輸出の牽引力: 新興国の需要拡大や米企業の積極的な海外進出に支えられ、輸出は引き続き増加傾向を維持する見通し。新興国を中心とした海外部門の売上増加などを背景に、企業業績・設備投資も底堅さを維持する公算。

(Ⅱ)欧州
(ⅰ)ユーロ圏個人消費: 雇用・所得環境の悪化に加え、住宅ローン向け貸出の減少を受けた住宅価格の下落が消費者マインドを下押し。域内個人消費は低迷が長期化。
(ⅱ)ユーロ圏輸出動向: ユーロ安が下支えに作用。もっとも、域内金融機関の資金引き揚げが中東欧を中心とした新興国景気の減速を招き、新興国向け輸出が腰折れする恐れ。
(ⅲ)英国: 債務問題の英国金融機関への直接的影響は限定的。もっとも、EU向け輸出の減少が見込まれるほか、家計のバランスシート調整の持続に伴い内需が低迷。

5.以上を踏まえ、米欧経済の見通しは以下の通り。
(Ⅰ)米国: 新興国向け輸出の増加や企業業績・設備投資の底堅さが景気下支えに作用。もっとも、1)家計の過剰債務の圧縮、2)住宅価格の低迷持続、3)雇用・所得環境の緩慢な回復、4)欧州債務問題を受けたマインドの低迷、などが足かせとなるため、2%前後の緩やかな成長ペースにとどまる見通し。
(Ⅱ)欧州: ユーロ圏では、新興国向け輸出の景気牽引力が減衰。1)緊縮財政、2)雇用・所得環境の悪化、3)企業・消費者マインドの低迷、などを背景に域内需要も低迷し、2012年初にかけてマイナス成長に転じる見込み。その後は、ユーロ安を受けた輸出の増加を主因に持ち直しに転じるものの、内需の拡大が見込めないなか、持ち直しペースは緩慢にとどまる見通し。

6.上記見通しに対するリスクは、1)欧州債務問題を発端とした金融危機の世界経済への波及、2)過度な金融引き締め等による新興国景気の減速。

本件に関するお問い合わせ先

調査部 マクロ経済研究センター
村瀬(米国): 03-3288-4085 E-mail: murase.takuto@jri.co.jp
菊地(欧州):
藤山(総括): 03-3288-4665 E-mail: fujiyama.mitsuo@jri.co.jp

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