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平成22年度 潜在ホームヘルパーの実態に関するアンケート調査結果
就業促進には、就労形態別のセグメント選択と情報提供が効果的

2011年07月26日

各位

株式会社日本総合研究所

●養成研修を修了したものの現役ホームヘルパーではない「潜在ホームヘルパー」は修了者全体の85.6%、228.8万人(注1)に上ると見られる。
●「ホームヘルパーとの座談会に関心がある者」、「企業主催合同就職説明会に関心がある者」などは、就業意向が高い人の割合が大きく、かつ正社員志向の強いキャリア重視派(注2)である。この層に対しては、説明会で福利厚生制度やスキルアップ支援の手厚さを伝えることなどが、就業を後押しする一手となる。
●「子育て中の母親」や「主婦」なども同じく就業意向の高い人の割合が大きいが、子育てや介護との両立を望むワークファミリーバランス重視派(注3)である。そのため、時間の融通が利く体制や出産・子育てのサポートが充実している点をアピールすることが、両立への不安を軽減する上で重要である。

(注1)厚生労働省「平成21年介護サービス施設・事業所統計」の「訪問介護」の従事者数をもとに推計
(注2)キャリア重視派の属性は後述。
(注3)ワークファミリーバランス重視派の属性は後述。

 株式会社日本総合研究所(本社: 東京都千代田区、社長: 木本 泰行)では、平成22年度老人保健健康増進等事業の国庫補助を受け、2011年2月、訪問介護員養成研修(1~2級)、もしくは介護職員基礎研修のいずれか1つでも修了している人6,336人を対象に「潜在ホームヘルパー実態に関するアンケート調査」を実施し、その結果をもとに推計を行いました。調査分析結果の概要は以下の通りです。

アンケート概要

調査方法: インターネットリサーチ
調査地域: 全国
調査対象: 株式会社楽天リサーチのインターネットモニターのうち、訪問介護員養成研修(1~2級)、もしくは介護職員基礎研修のいずれか1つでも修了している人(18歳~79歳)6,336人
調査期間: 2011年2月16日~17日
※本調査では、訪問介護員養成研修(1~2級)、もしくは介護職員基礎研修のいずれか1つでも修了したものの、現在、訪問介護員として従事していない人を「潜在ホームヘルパー」と定義。

調査の目的

 今後の高齢化の進展に伴う介護需要に対応するためには、介護サービス全体で2025年には約212万~255万人の介護人材が必要(注4)とされ、現在の134万人から倍増させることが求められています。
 幅広く人材を養成するために訪問介護員養成研修2級が実施されているものの、実際は大半の修了者がホームヘルパーとして働いておらず、その就業促進が大きな課題となっています。
 ただし、潜在ホームヘルパーが望む就労形態は多様なため、就業促進にあたっては潜在ホームヘルパーの現状や課題の把握が重要と考えられます。
 そこで、地方公共団体における介護事業(支援)計画を策定する際の検討材料とすべく、今後訪問介護員として就業する意向、就業に向けた課題、就業支援策に対するニーズ等について実態調査を実施しました。
(注4)社会保障国民会議の「医療・介護費用のシミュレーション」による

主な調査結果

<資格は十分に生かされていない-潜在ホームヘルパーは修了者の85.6%に上る>

●平成7年に開始した訪問介護員養成研修2級の修了者の合計は267.3万人(推計)だが、ホームヘルパーとして働いていない人(潜在ホームヘルパー)が228.8万人と、全体の85.6%(推計)注5を占めており、資格を活用している人の割合は小さい。
(注5)厚生労働省「平成21年介護サービス施設・事業所統計」の「訪問介護」の従事者数をもとに推計
●潜在ホームヘルパー全体のうち、ホームヘルパーに「すぐにでも就きたい」という人は11.9万人(5.2%)、「いつか就きたい」という人は72.8万人(31.8%)であり、両者を合わせた「就業意向が高い人」は84.7万人(37.0%)と推計される。

図1 訪問介護員養成研修2級修了者の実態

(クリックして拡大)

※1 養成研修2級修了者全体に占める平成22年1年間に修了した者の割合(10.3%)から算出 (基礎研修のみ修了者や修了年不詳を除く、N=5,507)
※2 平成22年1年間の養成研修2級修了者に占める現役ヘルパーの割合(20.0%)から算出(基礎研修のみ修了者や修了年不詳を除く、N=567)
※3 厚生労働省「平成21年介護サービス施設・事業所調査」の「訪問介護」に従事する介護職員数(常勤(専従、兼務)、非常勤の合計)
※4 訪問介護員の採用率(19.1%)と※2から算出 (財)介護労働安定センター「平成21年度介護労働実態調査結果」 「訪問介護員」の値
※5 訪問介護員の離職率(12.9%)から算出 (財)介護労働安定センター「平成21年度介護労働実態調査結果」「訪問介護員」の値
※6 ※3と※7から算出
※7 養成研修2級修了者全体に占める現役ホームヘルパーの割合(14.4%)から算出(資格保有者の死亡による自然減は考慮していない)
※8 潜在ホームヘルパーの就業意向の割合(「すぐにでも就きたい」(5.2%)、「いつか就きたい」(31.8%)、「就きたくない」(63.0%))から算出
※9 各推定値は小数第2位以下を四捨五入のため、合計が一致しない場合がある

<対面での情報収集に関心があるセグメントは、「就業意向が高い人」の割合が大きい>

●潜在ホームヘルパーのうち、「ホームヘルパーとの座談会に関心がある者」、「企業主催合同就職説明会に関心がある者」、「現場見学会に関心がある者」のように対面での情報収集に関心があるセグメントでは、ホームヘルパーへの就業意向が高い人(「すぐにでも就きたい」もしくは「いつか就きたい」と回答した人)の割合が大きい。

図2 就業意向が高い人の割合が大きいセグメント

(クリックして拡大)

※1 上図表中縦軸に記載しているNはアンケートの回答者数
※2 「専門職・リーダー志向の者」は仕事を選ぶ条件として「専門職として活躍できること」、もしくは「リーダーシップを発揮できること」を重視すると回答した者
※3 各セグメントに重複する人もいる

<セグメントによって希望する就労形態が異なる>

●就業意向が高い人の割合は同程度であっても、希望する就労形態はセグメントによってそれぞれ異なる。「若者(18~24歳)」、「介護分野の現従事者」、「専門職・リーダー志向の者」などは正社員志向が強い。また、週30時間以上、年収300万円以上という就労形態を希望する人が多く、事業所の福利厚生制度やスキルアップ支援に対する関心が高い(以下、キャリア重視派と呼ぶ)。
●「ホームヘルパー経験者」、「家族介護経験者」、「子育て中の母親」、「主婦」はパートタイム・アルバイト志向が強い。週20時間未満、年収130万円未満という就労形態を希望する人が多く、時間の融通が利く体制、出産・子育てのサポートに対する関心が高い(以下、子育てや介護との両立を重視するという意味で、ワークファミリーバランス重視派と呼ぶ)。

図3 就業意向が高い人が3年後に期待する就労形態

(クリックして拡大)

日本総研からの提案

<就労形態別のセグメント選択と情報提供が就業意向を高める>

●まずは「すぐにでも就きたい」という人に対して、対面での就職説明会や現場見学会のように、事業者の施策や職員の様子が具体的に伝わるチャネルを活用して就業を促進するのが良い。ただし、この取り組みは小規模の事業者単体では限りがあり、行政や福祉人材センターがコーディネート役を果たすべきである。
●「すぐにでも就きたい」人を対象とした就職説明会や現場見学会では、正社員を採用したい事業者は、キャリア重視派に対してキャリア形成方法を伝えると良く、全国で数万人程度の規模が見込まれる(図4のⅠ)。
●一方、登録ヘルパーを採用したい事業者は、ワークファミリーバランス重視派に対して時間の融通が利きやすい点など初任者の不安を軽減する情報を伝えることが、就業を後押しする一手となる。これもホームヘルパー経験者を中心に、全国で数万人程度の規模が見込まれる(図4のⅡ)。
●さらに必要な人数を確保するには、十万~数十万人の規模が見込まれる「いつか就きたい」人への働きかけが必要となる(図4のⅢ、Ⅳ)。「いつか就きたい」層を「すぐにでも就きたい」層へ移行させるためには、就労形態に応じてウェブサイト、雑誌等を活用して、雇用環境の改善状況やホームヘルパーとしての働き方のイメージを共有することが求められる(図5)。こうした取り組みは、地域を挙げて実施する必要があり、行政と事業者の協働で進めていくことが望まれる。

図4 就業意向が高い人の割合が大きいセグメントの人数規模

(クリックして拡大)

※1 上潜在ホームヘルパー全体を200万人とした場合の推計
※2 複数のセグメントに重複する人もいる

図5 就労形態別のセグメント選択と情報提供による就業促進の流れ

 調査の詳細につきましては、別添資料「平成22年度 潜在ホームヘルパーの実態に関するアンケート調査研究」 結果概要をご参照ください。

※リリースの図表2、別添資料5ページの図表3を差し替えております(2011年8月5日)。

本件に関するお問い合わせ先

総合研究部門: 齊木 大、山崎 香織
E-mail: rcdweb@ml.jri.co.jp
TEL: 03-3288-4535

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