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Business & Economic Review 2010年6月号

【特集 成長戦略】
日本の製造業の成長戦略-産業視点の業界構造の変革を促す技術の開発に向けた強制的な技術融合

2010年05月25日 時吉康範


要約

  1. 日本の製造業の成長戦略が見えない要因は、時間軸の短い研究開発への偏重、新規事業開発と研究開発の視野の狭さ、経営資源の限界に求められる。


  2. 顧客主導型の新製品開発志向によって、多くのメーカーは目先の「効率」を改善し、2008年からの極端な景気低迷に直面するまでの5年間はおおむね安定した成長を続けてきたものの、この志向性は、日本のメーカーが中長期の成長戦略を構築するにあたって大きな課題を残すことになった。


  3. 私どもの調査によれば、年商数千億円以上の日本の上流系メーカーでは、新規事業領域の研究開発テーマが圧倒的に少ない。年商数千億円企業の成長を支えられないテーマ群にしか取り組んでいないと考えられるメーカーも多い。


  4. 次世代の事業の柱になる研究開発テーマを創るには、業界における主要プレーヤーを退場に追い込むような産業の大きな動向を捉えるか、退場に追い込むような技術を考える必要がある。そのためには、サプライチェーンにおいて、どの階層のプレーヤーを退場させる技術なのかを認識することが前提になる。


  5. 日本の大手メーカーの技術シーズと技術者を結集して、世界に流通させるスキームを構築することが求められている。そこで、技術の流通の仕組みを考えるに先立ち、日本のメーカーの技術流通への姿勢を問う前に、本稿ではまず、グローバルな流通に値する日本の技術とは一体どのようなものなのかを国際競争力の観点から考察した。


  6. 国際競争力のある機器の特徴は、「とくに機器の最適化のノウハウを結集した電子制御を中心とする」「機構、電子、化学の三つの技術融合体である」であり、反対に、国際競争力のない機器は、単独の技術に偏ったモノであることである。


  7. 技術融合は経済産業省が公開している技術戦略マップ2009でも取り上げられているが、過去の枠組みを「超える」だけでは、日本はグローバルに通用しうる技術を開発していけない。技術融合にあたっては、これまでの用語や枠組みを「破壊」し、原理原則に立ち返って、再構築すべきである。
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