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貧困線近辺の所得層の国民健康保険料負担
-試算と提言-

2010年01月08日

1.最近の議論-ナショナルミニマムの議論へ

 民主党政権移行後、最低限確保されるべき可処分所得の水準を明確に意識した、税および社会保険料の整合的な議論へ向かう機運が高まりつつある。例えば、2009年10月、厚生労働省は、厚生労働大臣の指示により相対的貧困率の試算を公表し、同年12月、「ナショナルミニマム研究会」の初会合を開いた。
 さらに、「平成22年度税制改正大綱」では、次のように税と社会保障の一体改革がうたわれている。「税制改革と社会保障制度改革とを一体的にとらえて、その改革を推進します」

2.論点は大きく2つ

(1)先ず、そもそもナショナルミニマムの水準をどのように設定するのかが論点となる。わが国では、現在、この点コンセンサスが形成されていない。
(2)次に、その水準を保障するため、税と社会保険料をどのように一体的に設計するのかが論点となる(相対的貧困率で対象としているのも可処分所得)。

3.本稿はまず「相対的貧困率」に関する留意点を整理(P3~5)

2の(1)に関し、コンセンサスが形成されていないのみならず、昨今、注目を集める相対的貧困率における貧困線も、このままナショナルミニマムとして採用するには留意すべき点が多い。そこで、本稿ではまずこの点について整理した。

4.国民健康保険の保険料を試算(P6~18)

(1)税と社会保険料の一体的設計の鍵を握る国民健康保険の保険料
 ナショナルミニマムの水準が今後どのように設定されようとも、それを保障するには、税と社会保険料の一体的設計が不可避であり、その鍵を握るのが、国民健康保険(国保)の保険料である。税・社会保険料うち、国保のみ市町村ごとに計算方法・水準が大きく異なり、低所得層にとっての負担感が重いとの指摘があるにもかかわらず、実態解明が不充分であるため。ナショナルミニマムの議論を進めるにあたって、その解明が不可欠となる(注1)。
(2)試算の具体的方法
 そこで、本稿では、厚生労働省試算の相対的貧困率における貧困線114万円を、留意点はあるものの、暫定的にナショナルミニマムと仮定し、貧困線近辺の所得層(1人~4人の4世帯類型)の国保保険料を1,804の市町村ごとに試算、それを踏まえて、改革に向けた提言を行った(注2)。

(注1)2009年6月に、毎日新聞が独自に保険料の全国調査を行い、国保加入の平均所得の4人世帯で平均32.5万円という負担水準や、最高(50.4万円)と最低(14.0万円)とで3.6倍に及ぶ市町村格差などを明らかにした。そこで想定されているのは、夫婦(2人とも40歳以上)子2人、国保加入世帯として平均的な所得200万円(給与収入に換算すると311.4万円)、固定資産税支払い5万円の世帯。なお、民主党[2009]でも、このデータが引用されている。
(注2)市町村毎の保険料率などは、国民健康保険中央会・都道府県国民健康保険団体連合会『国民健康保険の実態』に公表されており、本稿ではこの平成20年度版(対象となる年度は平成19年度)を用いた。先行研究には北浦[2007]がある。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社 日本総合研究所 調査部 ビジネス戦略研究センター 西沢和彦宛
TEL : 03-3288-5052

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