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Business & Economic Review 2001年02月号

【PLANNING & DEVELOPMENT】
市町村合併の推進に向けて
-合併協議会の活動状況にかかわる問題点と解決策-

2001年01月25日 研究事業本部 入山泰郎、研究事業本部 亀山典子、研究事業本部 小松啓吾、研究事業本部 吉岡正彦


要約

1999(平成11)年7月に成立した地方分権一括法において、合併市町村に対する優遇措置を一層手厚くした合併特例法改正が盛り込まれ、自治省の中に市町村合併推進本部が設置されるなど、市町村合併の機運はかなり高まっている。全国各地で合併を検討する関係市町村による合併協議会の設立の動きも活発化しており、市町村合併は調査・検討の段階から実践の段階に入ってきた。 しかし、全国各地の合併協議会の活動状況を見ると、必ずしも多くの協議会が円滑に運営されているとはいえない。そこで、現在、全国で設立されている19の法定協議会を対象に、協議会の活動状況に関するアンケートを実施し、全ての協議会から回答を得た。また、具体的に活動状況を把握するために、あわせて電話によるヒアリング調査も実施した。 アンケート調査結果によれば、将来構想、新市建設計画、合併協定書など必要な手続をすでに終了し、合併する見通しとなっているのは4協議会であった。 また、協議会運営上、困難に感じていることとしては、「関係市町村間の調整」がトップで、関係市町村間の入念な調整が必要となる合併協議会の特徴を裏付けた。次いで「住民意向の把握」「住民意識の啓発」についても困難を感じている回答が多く、住民とのコミュニケーション方法を模索している様子がうかがえた。 2005(平成17)年度までとなっている合併特例法の期限について、優遇措置を活用するために期限内の合併を視野に入れている協議会は14件にものぼり、期限設定は合併促進に効果をあげている。国や都道府県に対する要望としては、協議会運営にかかる補助と、優遇措置の拡大、創設が最も多く、財政支援措置が十分でないと感じている協議会が多い。 以上のような結果を踏まえ、以下に問題、課題を指摘し、解決方法を提案したい。

  • 合併前の財政支援が十分でないために、合併協議の芽が育ちにくい状況がある。一市町村に一律500万円の補助金というのではなく、協議会の規模に応じて額を増減させるべきである。また、特別地方交付税による措置も手続が煩雑であるなど、協議会運営の現場では活用しにくい欠点があるため、より分かりやすく使いやすい補助制度を検討すべきである。


  • 合併協議に関する情報提供や情報共有についても、工夫の余地があり、全国的な推進協議組織を形成するなどして、協議会同士の情報共有を図り、住民に対しても制度、財政、まちづくり等、バリエーション豊かな情報提供が必要である。


  • 関係市町村の住民意向把握のためには、住民意識調査や広報イベントを効果的に活用して、合併機運を醸成する工夫が必要である。


  • 95(平成7)年度に新たに設置された住民発議制度を活用して設立される協議会も増えてきているが、協議の円滑な推進を図るためにも、関係住民には協議会設立後も積極的に関与していく姿勢が求められる。
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