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Sohatsu Eyes

eコミュニティビジネス分野 -電子自治体-

2003年02月25日 香川裕一


eコミュニティクラスターの香川裕一です。
前号の高村の創発eyeの中でも、2003年度は本格的な電子自治体の発展の年であり、重要な年であると述べましたが、この点をさらに 詳しく述べたいと思います。

ここ1、2年が電子自治体の動きの中で、非常に重要な年になります。 これは、これまでの取り組みのパラダイムと今後の取り組みのパラダイムを大きく変換することが求められるからです。 これまでの電子自治体の取り組みは、大きく2つに集約されます。

1つは、庁内のパソコン整備やLAN整備、または光ファイバーなどの地域の高速通信ネットワークの整備など、IT基盤の整備に関する 取り組みです。

もう1つは、庁内業務システムの導入や総合行政情報ネットワーク (LGWAN)などの行政ネットワークの整備など行政業務の効率化を 目的とした取り組みです。住民基本台帳ネットワークの整備に関しても、 住民サービスの向上というよりは、行政業務の効率化という点のほうがメリットが大きいと考えられます。 このような取り組みが間違いであったというわけではなく、必要な取り組みであると認識しておりますが、これではまだ準備段階という状況ではないでしょうか。

言い方を変えると、これまでは国や自治体内部を見ながら 取り組みを行ってきたことが、これからは地域の住民や事業者など、 地域のほうを向いて電子自治体化の取り組みを進めなければならないということです。

本来、電子自治体の取り組みの重要な目的は、住民サービスの向上により、住民が快適に過ごせる地域社会を創造することです。そのために は、まず住民のニーズを十分に把握することが必要です。 その上で、ITで実現すべきこと、フェイス・トゥ・フェイスで実現すべきこと を見定めたうえで、今後の方向性を模索することが必要です。まだまだ 多くの自治体では、この視点が欠如している気がします。 また住民のニーズは各地域によって様々です。したがって、国がどのよ うな方針を示しているか、また他の地域がどのようなサービスを実現して いるか等を参考にしつつも、最終的には各地域で、どのような電子自治体を実現するか、どのようなサービスを優先的に整備するかを十分に検討することが必要です。 このときに重要なことは、自治体だけで考えるのではなく、地域の住民や NPO、さらに事業者も巻き込んで、知恵を出しながら、地域の方向性を検討することです。

そのためには、自治体側から積極的に地域のプレイヤー に働きかけ、連携し、役割分担しながら、電子自治体化を推進していくことが必要になります。2003年度は、ここがポイントになると思われます。

3/4(火)の電子自治体シンポジウムは、このような視点から開催します。 住民との協働を実現されている札幌市の淺野氏、三鷹市の新藤氏、 横須賀市の渡邊氏、浜松市の内藤氏をお招きして、先進的な取り組みに ついてご紹介いただくとともに、パネリストの皆様と今後の方向性について 議論したいと考えております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
 
※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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