(2009年9月10日更新)

いろいろな間

<JRI研究員有志>

ランチの間
企業マネジメント
マクロ経済・金融
地域経済
環境・エネルギー・資源
食・農畜産・水
その他

拾い読みの間

聴講の間

読書の間

読書ノート(感想など)

新保豊の時々感想帳(ブログ)

新保豊の週刊雑記帳過去のページ

新保豊のときどき感想帳

続きは「時々感想帳」にて継続


 

変革期のマネジメント小論(分野別研究員メッセージ)

 

経営イノベーション勉強会

経営コンサルティング本

経営イノベーション小論(新保理事から)

戦略コンサルタントの道具箱(準備中)

マネジメント手法(経営イノベーション)

通信・メディア

IT・Eビジネス

通信メディア・ハイテク戦略クラスターとは

位置付け

活動領域

経営課題解決のためのプロジェクト

プロジェクトの進め方

事例紹介
<クラスター活動実績>

コンサルティング・プロジェクト実績

寄稿・投稿等

講演・研究会等

委員・講師等

記事・論文・出版等

クラスターメンバー

新保豊(クラスター長)

倉沢鉄也

河野賢一

浅川秀之

今井孝之

吉田賢哉

山浦康史

山近紀行

お問合せ

 

 

■■■『週刊雑記帳』(2006/11/27〜12/01)■■■

◆NYの摩天楼のごとく変貌しつつある丸の内で、米国の通信事情を学ぶ

 月曜午前。FTTHやCATVなどのブロードバンド通信事業について、あるところと8時半からミーティング。先日もKDDIなどの総合通信キャリアとCATVとの関わりを巡るニュースがあった。全国のCATV会社あるいはそこを子会社としている親会社の動きが、2010年のNTT再再編や2011年のアナログ停波の前に、活発になってくることだろう。

 月曜夕刻。日経デジタルコアの定例勉強会に参加するため、丸の内の丸ビルへ行った。このビルで、来年度からある私学のMBA講座の非常勤講師を務めることになっている。仕事の関係で、この近辺はよく訪れる。丸の内は大きく変わった。高層ビルの谷間から上を見上げると、NY(ニューヨーク)のマンハッタンにいるかのような感じにもなる。もちろん、そのように感じるエリアはかなり限定的ではあるが。

 米国のジャーナリスト小池良二氏からの「米国の通信事情」に関するものだった。もう5年ほど前に、ある件で米国の専用線などを中心にデータ通信サービスのリサーチを実施した。その際、当時の若手研究員2人に、まずは西海岸の小池さんを訪ね、ブリーフィングを受けなさいと伝えた。小池さんは、大変親切に研究員を迎えてくれたようだ。その時もそう思ったが、小池さんは、現地のみならずわが国の通信事情に通じているようだ。特に、NTTグループの考えるNGN(次世代通信ネットワーク)も去ることながら、米国の通信会社(VerizonやAT&Tなど)のNGNについても図解入りで説明があった。よく重要な点を押させており大いに感心した。とてもよい勉強会となった。

◆ユビキタスサービスの立ち上げにも、レンズを介して市場環境変化を見通せるか?

 火曜。朝から悪寒がして体調がすぐれない。この10年間、2〜3度しか風邪をひいたこともないのだが、どういう訳か風邪だろうか。。。食欲もない。きわめて珍しいことだ。

 水曜夕刻。あるところでユビキタスサービス関連のミーティング。ユビキタスという言葉からキーワードを想定し、新たなビジネスを模索する。その会社や世の中にある技術シーズのみを持ってきても、よいものはできない。ではユーザー(消費者+法人顧客)の需要面はどうか。特に消費者の需要は、いつの時代でも見通しを立てることは難しい。難しいというよりも、意味がないという専門家や企業人もいるくらいだ。しかし、例えば、クリステンセンが示した「イノベーションの経路」に関する知見・理論を基にすればそうでもない。当該技術の将来のトレンドが見通せることもある。理論(レンズ)を介して将来を見通した際の、その後の結果との照合をとる、そうした実証研究が求められている。

◆産業政策(国家プロジェクト)を成功させるには、海外文化面への影響力行使も

 木曜夕刻。経産省の久米孝課長代理からの、同省の「情報大航海プロジェクト」についての話を聞いた。2つの点で、「う〜ん、大丈夫だろうか」という印象を持った。

 国家プロジェクトとしての位置づけの点。「過去の失敗の総括をした」と言うが、過去のプロジェクトをなぜ途中で変更できなかったかの要因分析、あるいはなぜ変えざるを得なかったのかという外部環境変化や産業の構造変化に対する認識はどうだったか。前述の「イノベーションの経路」や「イノベーションのジレンマ」の問題をどう総括したのか。この点に対する答えは期待できそうもなかった。しかし、この種の討論・コミュニケーションの場は貴重だ。

 中国の「留美派」といわれる指導層のしたたかさとの対比の点。日本の官僚はグローバル競争の中ではどこまで優秀、いや通用するのか。情報通信やITのようなボーダーレス市場でのことは、日本のことだけを考えていては駄目だ。また、その産業そのもののみならず、言語や文化に関することが大きく関わる。Googleと経産省が組織文化面で異なることは明らかだが、情報検索などの技術やサービスを広めるにも、国やその地域の文化面までも視野に入れておくことが重要だ。エレクトロニクス機器や通信インフラではなく、検索技術が対象とするコンテンツは、国の文化そのものの意味があるからだ。

 中国の指導層は、世界各国ほか日本にまで最近、孔子学院を多数設立することに積極的だ。孔子学院とは、中国政府が主導している海外広報・文化交流のための活動機関のこと。例えば、英国のブリティッシュ・カウンシル、フランスのアリアンス・フランセーズ、さらにはドイツのゲーテ・インスティチュートと同じようなものらしい。こうしたレベルの後押しが日本は希薄だ。これらは情報検索プロジェクトとは関係ない。しかし、急がば回れで、自国文化の海外へのこの種の浸透と合わせて国家プロジェクトを進めることが、こと「情報大航海プロジェクト」には不可欠なのではないか。しかし、いまの官邸主導のアプローチをもってしても、適わないかも知れない。官僚の能力の問題というよりは、組織の問題も孕んでいるからだ。

◆「日本産業新聞社」でなく、「日本経済新聞社」を選択したことの意味

 金曜昼時。ホテルオークラにて日本経済新聞社の130周年記念の集まりに出席。現首相、元首相、日銀総裁、自民党元総裁ほか、経済界から錚々たる重鎮が見えていた。同社は、1876年に中外物価新報、中外商業新報を創刊した、中外商業新報社が前身である。そして、1942年に日本産業経済と改題された後、「日本産業新聞社」ではなく、現在の「日本経済新聞社」となった。今にして思えば、ここが分かれ目ではなかったか。このことは、日経内の私の知人から聞いたことだ。もし社名が「日本産業新聞社」であったならば、先の政界・経済界からこれだけの重鎮が本日集まっただろうか。

 「経済」と「産業」の違い。この差は天地の違いほど大きかった。この言葉がカバーする範囲・意味合いが異なる。「エコノミー」 という外来語を、明治初期に日本語に訳すとき、世の中の筋道を整え人々のあるべき姿を全うするという意味の「経世済民」の短縮形として「経済」という熟語を作ったそうだ。今では、個人のポケットマネー、家計から、国家財政や世界経済に至るまでの言葉へと拡張されている。「経済」という言葉が、国の影響力のある人々を引きつけている。


■■■『週刊雑記帳』(2006/11/20〜11/24)■■■

◆メディア論(テレビ広告とネット広告の対比)に関する早朝勉強会

 月曜午前。当社研究事業本部内の隔週の、早朝8時半から始まる定例勉強会がある。国の分科会向けに関する発表資料の提供締め切りの関係もあって、少し遅れて参加。当社の常務もしばしば参加する場だ。若い研究員が何を日頃考え、どのようなことに関心をもち、そして、どれほどの知見を持っているのか、そうしたことを目の当たりにすることができる。対話を通じた討議により、当人の見識や技量を垣間見ることができる貴重な機会だ。本日は、メディア論について。特にテレビ広告とネット広告の対比により、討議を重ねた。本日でもう119回を数える。最近の討議内容はオープンにしている。

◆複数戦略の並行実施と非ハイエンド型イノベーションの取り組み

 火曜午前。国のある分科会(第3回)で、構成員として発表。タイトルは、「次世代IPNW基盤と国際競争力(複数戦略の並行実施と非ハイエンド型イノベーションの取り組み)」。私の発表内容は、どちらかというとマイナーな意見だろう。また、企業のマネジメントのことをかなり重要視した内容となっている。この内容については、近く小論にしてまとめておきたい。他には、日本を代表する大手エレクトロニクスメーカーと通信会社からの発表があった。毎回活発な意見が出て、さまざまなヒントが与えられる。

◆新規事業と最近のマネジメント理論

 火曜午後。経営幹部から新規事業を立ち上げるようにとお達しが下された、ある大手企業エレクトロニクス部門の担当者と打合せ。アイデア発案の仕方ではTRIZ(発明的問題解決の理論)〔Genrich Saulovich Altshuller〕、イノベーションのパターン〔Clayton M. Christensen〕、組織の資源と競争優位に関するRBV〔資源ベースビュー〕の考え〔Jay B.Barney〕、意図的戦略〔Michael E. Porter〕創発的戦略〔Henry Mintzberg〕の使い分けの仕方、新規事業に関する「模倣と借用」〔Vijay Govindarajan〕などについて、ご紹介差し上げ、その上で同社での適用イメージについてご説明申し上げた。

◆グローバルネットワークセミナー

 水曜午後。日経BP主催の「グローバルネットワークセミナー」にて、特別講演を行った。タイトルは、「グローバルネットワーク構築による競争力強化とイノベーションのマネジメント」。大勢の方が来られていたが、わずか45分間という時間の制約もあって、Q&Aの時間を設けることができなかった。こうした場では、このQ&Aが興味深い。聴衆のレベルも興味の対象もうかがい知ることができるからだ。

◆コンセプト創造と研究開発

 金曜昼〜午後。以前記したFF会での例会に出席予定としていたのだが、訳あって参加できず。本日は、「コンセプト創造と研究開発」と題して、講師に森健一氏(東京理科大学総合科学技術経営研究科教授)をお招きし、≪未来の社会がどのように潜在的なニーズを持っているかを発見し、短い言葉で表現したものが『コンセプト』である。コンセプト創造の方法論とこれを用いた日本語ワードプロセッサの研究開発の事例についてお話しする。≫ことを勉強する場となったはずなのだが。残念。今年度は、イノベーションを大きなテーマとして運営を行っている。

◆EUビジネスマン日本研修プログラム

 金曜夕刻〜夜半。この日ドイツのミュンヘンに出張している、当社の別の理事の代理で、当社の女性研究員とともに、「EUビジネスマン日本研修プログラム」(注)に参加するためニューオータニ鳳凰の間へ向かった。25名ほどのEU諸国(今回は、英・独・仏・伊・スウェーデン)のビジネスパーソンの卒業式であった。年齢は30歳代半ばぐらいだろうか。ヒュー・リチャードソン氏(駐日欧州委員会代表部大使)の挨拶の後、卒業生代表(宇宙航空産業系企業のイタリア人エンジニア)が証書を受け取るなどの一連のセレモニーがあり、会場は終始和やかな場となった。当社が1ヶ月間余の研修を受入れたスウェーデンの女性ビジネスパーソンの周りに集まった、他の受け入れ企業(清水建設技術研究所、電通)の皆さんらとしばし歓談する機会をもった。優秀な人材が来日し、滞在し、日本市場で大きなビジネス機会を得ることは、わが国にとっても有益なことだ。

(注)

≪1979年、欧州委員会が日本経団連(当時の経団連)の協力を得て開始した同プログラムは、次世代のヨーロッパビジネス界をリードする若手ビジネスマンが、18ヵ月の間、日本市場の専門家養成のための集中的な研修を受けるものです。研修はすべて日本国内で行われ、研修員は最初の1年間は日本語集中講座を受け、その他にセミナーを通じ日本の文化、商習慣を包括的に学びます。また、ホームステイや地方都市への訪問などを通じて日本の「今」を肌で感じ、学ぶ機会も用意されています。続く6ヵ月間は、さまざまな業種、あらゆる規模の日本企業の協力のもとで企業内研修(実務実習)に参加します。≫


■■■『週刊雑記帳』(2006/11/13〜11/17)■■■

◆ITと競争優位

 月曜午前。とある大学院の社会人MBAコースを来年度から引き受けることになり、丸の内にてその担当者(その大学系列の短大学長)と打合せ。私の担当は、過去6年間担当してきた別の大学院MBAコースの時と概ね似た分野。特にITやICTと競争優位に関する講座を受け持つことになった。とはいっても、土日だけの集中講義。年間2単位の講座を2回受け持つ格好だ。最近の日経経済教室の特集「イノベーション:本質と課題」の中で、元橋一之氏(東大教授)が「ITの戦略活用不十分」と題する重要なことを述べていた。また、「内部統制とITフォーラム」が開かれるなど、ITの活用の仕方や組織内(もっといえば個人レベル)そして、組織間での浸透度合いが、競争優位を決めるほどになってきた。

◆エマージング市場の台頭とローエンド層や非消費層に眼を向ける

 月曜午後。「世界経済の新秩序と日本の総括」と題するシンポジウムが、日経ホールで開かれた。ここでビル・エモット氏(元『エコノミスト』編集長)らの話を聴いた。エマージング国家の経済成長率が近年高く、ガバナンス(統治)に問題ある国々を除き、5〜6%にも上るらしい。帰社後、国連がモニターする、旧東欧・CISの21カ国における過去5年間のGDP成長率の平均(CGAR)を、アシスタントにチェックしてもらった。7%ほどにもなる。こうした経済パワーの台頭は、日本企業のビジネスにも無視しえない状況に直面していることを物語っている。

 続いて、国のICT国際競争力に関する件で、あるところで打合せをもった。内需だけの経済成長は限界がある。内向き志向から脱し、再びグローバル市場のローエンド層や非消費層に眼を向けるときが来ている。

 月曜夕刻。あるエレクトロニクス系雑誌記者が、一番町オフィスを訪ねて来たので応対。国研プロジェクトの失敗・成功例、および国の資金の流れ、その使途とプロジェクトの効果などについて意見交換。来年1月号に特集記事が出るらしい。

◆若手研究員の発表後に続くビヘイビアに注目したい

 火曜午前〜午後。当社研究事業本部での、若手研究員の研究成果発表に立ち会った。「CGMを活用したWebマーケティング支援」、「財務報告に係る内部統制の効率化と推進手法」、「独立行政法人制度の見直しの方向性」、「ブルー・オーシャン戦略のコンサルティング商品化」、「本業による社会貢献活動プログラムの策定」、「スキーム健康商品・サービス提供プラットフォームの一考察」などがテーマだった。途中退席ゆえ、ここまでの発表を聴き、Q&Aとなった。20歳半ば〜30歳代前半ぐらいのトレーニング中の研究員成果であることを考えると、よかったのではないか。これは1つのセレモニーに過ぎない。ただ、ここで優秀だった者が、その後のビジネス(実業)や理論形成などで優秀だとは決して限らない。むしろ、外れているぐらいの方が頼もしく、将来大きく成長するケースもよくあることだ。若い研究員の今後の成否は、非常識なほどの執着・こだわりなどの要素に拠るものが多いと思われる。

◆PV(太陽光発電)とエマージング国での非消費用途

 火曜午後から夜半。招待されたいた、フィンランドTEKESの「クリーンエネルギー」に関するコンファレンスに途中から参加(大手町にて)。フィンランドからはフィンランド大使ほか、TEKES (技術庁)、SITRA (半官半民の研究開発財団)の幹部、日本からは環境省の局長、何社かの大手化学系、電機系、液晶ディスプレイなどのメーカーら幹部が同席していた。私からの質問は、PV(太陽光発電)の使途として、FIT(Feed In Tariff)という仕組みが機能しているドイツ、スペイン、イタリアのような国々ではなく、エマージング市場での消費をまだ経験していない、非消費(non-consumption)使途の可能性について。PVのほか風力やバイオなどRE(Renewable Energy)からの電力の買取りを電力会社(もしくは系統管理者)に義務づけ、一定の価格での買取りを保証するFITビジネスは、あくまで補完的なものになる。一方、エマージング市場でのPVは、破壊的イノベーションになり得るからだ。夕刻以降のレセプションパーティでは、そのあたりの話の続きを行った。

◆利害関係者の中に入ることによる、情報の非対称性の緩和

 火曜夜。通信分野の競争評価に関するカンファレンス後のレセプションパーティのみに参加(霞が関)。注目があつまったMNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)の渦中にある携帯電話会社3社、大学教員、国の関係者が集まっており、それぞれの調整機能を果たす場となっている。こうしたオープンな場を通じ、必要な制度設計を進めること、あるいは不透明市場にあっては、各社間における競争上の利害調整の役目は意味をもつ。私の仕事においては、こうした利害関係者の中に入ることで、情報の非対称性を緩和することができる。

 翌水曜昼。続いて、京大チームと東大チーム(ともに経済学部)および国の関係者との間で、通信問題に関するミーティング。

◆PLCビジネスの入り方

 火曜夕刻。概ね課長クラスから成る、民間企業(日立製作所、富士通、日本電気、ソニー、イー・モバイル、KDDI、NTTコミュニケーションズ、日本電信電話、NTTドコモ、ウィルコム、グーグル・ジャパン)、自治体と国の関係者をメンバーとする、民官の勉強会に出席。私はこの夏前ぐらいから、ある縁でアドバイザーを務めることになった。月例の開催でテーマは、たいがい情報通信・ICTに関するものだ。今回は、PLCについて。これは、集合集宅での「光ファイバー+建物内銅線」の組み合わせサービスのうち、建物内銅線の代替または補完に関する一定需要が日本にもあると思われる。一方で、ロシアやブラジルなどのエマージング市場に、「ブロードバンド+デジタル放送+PLC」といった組み合わせで、適時タイミングをとらえることでビジネス機会があるのではないか。このあたりの具体的なイメージの意見交換を行った。他人に話すことで、自身の頭の中が整理されるような気になるものだ。

◆新規事業のマネジメント技量

 木曜午後。国の非公表のある分科会に構成員として参加。本日は第2回目で、わが国のICT産業の国際競争力について討議した。国際競争力をつけるには、経済や法制度の仕組みを整えることも重要であるが、企業の新規事業を含む、ビジネスのマネジメント技量が問題になる。このあたりの知識・知見が、日本企業には乏しいのではないかと日頃感じている。

 金曜午前。あるところで、通信分野の新規サービスについて打合せ。これまでの技術シーズをサービス(最終商品)にまで仕上げるプロセスを経る方法は、いくつかのパターンが存在する。また消費者(プロシューマー)の心理的な根源に遡ったマーケティング手法もある。技術者あがりの担当者であっても、こうしたマーケティングの知見を心得ておくことが求められる。さらには、新規事業のマネジメントに関する技量が競争優位を分けることになる。


■■■『週刊雑記帳』(2006/11/06〜11/10)■■■

◆TEKES(フィンランド技術庁)の科学技術に関する取り組み

 月曜午前。ある仕事の件で、フィンランド大使館に赴く。その敷地内にあるTEKES(技術庁)の日本オフィス(南麻布)にて、本国が関心を持つ科学技術に関することで、ミーティングを持った。ノキアを生み出した同国はITのみならず、将来の産業を視野に入れた、様々な投資対象を模索している。国際競争力評価で1位、2位といった上位の常連国に、わが国も大いに学ぶこと(⇒「フィンランドのIT戦略に学ぶ()()()」)がある。

◆KDDIのジュピターテレコム(J:Com)買収と携帯電話市場の今後

 月曜昼。ある新聞記者から取材を申し込まれ、赤坂プリンスホテルにて昼食を食べながら、固定通信やCATV市場などのことを中心に、将来の情報通信市場の行方などについて談義。『選択』という匿名が原則の雑誌に、KDDIがジュピターテレコム(J:Com)を買収するのではないかという記事が出ていたそうだ。有りえる話だろう。1ヶ月近く前の別の取材で、私もそのように予想していたことだ。

 月曜午後。ある通信メディア部門の担当者が私のオフィスを尋ねてきた。特に携帯電話の将来市場などについて、予想される動きについて意見交換した。この種の取材では、守秘義務があるので具体的な話はせず、概観のみを述べる。こちらの意見や考え方を知りたいということで請われるのが常だが、実質当方の考えも整理され、こちらも大いに勉強になる。複数以上の視点を投げかけてくれるので、物事を多面的に眺めることができるようになる。これが大事なことだ。

◆一部の中小企業の取り組みは、大企業における新規ビジネスのヒントの温床

 水曜。藤沢久美氏の『なぜ御用聞きビジネスが伸びているのか』を材料に社内の勉強会。藤沢氏はソフィアバンクの副代表。代表の田坂氏は日本総合研究所の元取締役。藤沢氏はNHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターとして、全国の中小企業を訪問。3年間で400社以上の中小企業を取材しケーススタディしたものだ。大企業が新規事業を成功させるための題材が多々あるように思った。

 続けて、ある府省主催のICT国際競争力懇談会の分科会(次世代IPネットワーク・ワーキンググループ)に構成員として出席。本日が第1回となった。安倍政権になり、イノベーションと国際競争力がキーワードとなってきた。

 木曜。10月に幾つかの企業の新規事業担当者向けに、社内ベンチャーや新規事業について講義を行った。そのときの参加者が一番町の私のオフィスを尋ねてきたので、さらに突っ込んだ話をする機会を得た。前述の朝の勉強会で討議したことなども、こうした企業に大いに活かせるものだと感じた。大企業は、新規アイデアが今後どのイノベーション経路を辿るかを見極め、価値基準の異なる独立的組織(チーム)を設けて、事に当たることが成功率を高めることになる。

 木曜夕刻、スウェーデン大使館にて、招かれてスウェーデンのある企業のプレゼンテーションを聴く。都市空間や企業のオフィス環境において、そこで生活や仕事をする人々との対話・参加を得ながら、新たな時空間の環境コンセプトを構築していく。スウェーデンらしい、自然とうまくマッチングしたやり方に接し、そして、ここにも、新規ビジネスのヒントがあると感心した。

◆統合型プロフェッショナル人材

 金曜午前。隔週の社内広報委員会にて出席。私たちリサーチ・コンサルティングを担当する者のこれまでの知見・コンテンツをモジュール化するアプローチと、それらを組み合わせて統合型商品にするアプローチについて話した。

 前者は、スペシャリストの産物。ただ専門知識は次第に広まり、その専門性は薄れていく。新たな領域に常にポジティブに挑戦する姿勢が続かない限り、価値は小さくなっていく。

 一方、後者の統合型商品は、市場や顧客の状況に応じて創るものゆえに、コモディティ化しない。単純なよろずや的な総合化のことではない(ジェネラリストではない)。弁証法の正・反・合プロセスを踏まえた「綜合または統合」がキーワードだ。また分析的な推論法である(帰納法)などとは異なり、アブダクション(仮説検証法、発想法)に紐づくもの。MBA的なアプローチには限界がある。既に見てきた将来イメージと確信・信念を「正」(起点)とし、「反」によるゆらぎ状態を経て、「合」(アウフヘーベン)するものだ。これからは、このような統合型プロフェッショナル人材が、リサーチ・コンサルティング業界においても、大きな役割を担うことになるだろう。このことが、どこまで伝わっただろうか。。。

◆「意欲と能力」についての、個人と組織の固有のしきい値

 金曜昼は、FF会世話役会へ出た後、ある件で、午後、大手町にある京都大学経済研究所の分室にてTV会議。夕刻近くそこから、社内で若手研究員向けに講話。「私の見方・考え方:前編」というタイトルで、私の所属する組織や会社の将来のシナリオとそれへの備えについて話した。早口で、若者向けにしては少々難しい内容を、意識してハードルを引き上げて話したので、1〜2割程度しか理解できなかったかも知れない。「意欲と能力」についての、個人と組織の固有のしきい値を超えることの重要性などを説いた。


週刊雑記帳・過去の目次ページへ戻る