要旨 |
1. |
関西経済は過去の景気回復局面に比べると力強さをとりもどしつつあるが、関西からの人口流出は続いている。人口減少の一因となる人口流出は、域内需要の縮小につながることから、経済成長の重しとなることが懸念される。長期的な観点から高度成長期と比較してみると、対都市圏に比べて、対地方圏の人口移動の変化が大きい。 |
2. |
地方圏のなかで関西との人口移動が密接な、中国、四国、九州との転出・転入の動きを長期的にみると、主として就学要因とみられる人口移動においては転入超過が続いている一方、就業要因での人口移動の変化が大きく、これが転入・転出数の増減に大きく影響している。 |
3. |
一方、こうした変化を、中国、四国、九州の側からみると、人口移動における関西の位置づけは大きく変化している。長期的にはそれぞれの地域で転入者数、転出者数とも大幅に減少しているが、このうち特に対関西の転出者数・転入者数の減少が顕著である。対関東、対中部や、対地方圏への転出・転入者数は、対関西ほどには大きく変動しておらず、中国、四国、九州にとっての関西の位置づけが希薄になっている。 |
4. |
関西は、対関東で転出超過が長期にわたって続いており、本社機能の東京流出など対関東での拠点機能の低下が懸念される一方、地方圏からみた場合にも、地方圏の成長によって拠点としての地位を相対的に低下させていると考えられる。 |
5. |
最近生じている地方圏からの転入超過拡大を今後も持続させるには、成長分野の産業集積などを通じて関西の拠点性をより高め、域外から人を引き寄せるような雇用拡大につなげることが重要となる。 |
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