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初等教育に関する研究プロジェクト報告書「諸外国の放課後対策」がまとまりました(2009年6月)

このほど、初等教育に関する研究プロジェクトの報告書「諸外国の放課後対策」がまとまりました。
報告書の要旨と政策提言については、Business & Economic Review 2009年6月号でも特集しております。プロジェクト全体の最終報告書は、後日出版の予定です(勁草書房より12月刊行しました)。プロジェクトリーダーを務めました調査部主任研究員 池本美香より、報告書についてご紹介させていただきます。

  • 子どもの放課後を考える 諸外国との比較でみる学童保育問題
    子どもの放課後を考える 諸外国との比較でみる学童保育問題
    編著:池本美香
    勁草書房/2009年12月/¥2,940(税込)

Q1 プロジェクトを立ち上げた経緯について教えてください。

 最近は政府も少子化対策に力を入れ始め、乳幼児期については、保育制度改革や育児休業法の改正など活発な動きが出てきましたが、小学生については、学童保育の待機児童の増加、学力低下、教育格差の拡大など様々な問題が指摘されているものの、その対策が遅れています。そこで諸外国では初等教育期についてどのような議論があるのか、学童保育を中心に放課後対策全般を調査し、日本の政策論議を活性化したいと考えました。

Q2 今回の国際比較調査でどのようなことが明らかになりましたか。

諸外国では、放課後対策が実によく検討されていることに本当に驚きました。単に学童保育の待機児童をなくすといったレベルではなく、放課後が人間形成において非常に重要な時間であり、また人間形成は学力にも影響するという問題意識があります。放課後対策を通じて人間形成に力を入れることで、子どもも授業に集中できる、教員もよい授業づくりに専念できるという考え方です。教育格差の拡大を防ぐために、低所得家庭等に対して放課後の費用負担を軽減する取り組みも見られました。放課後活動の質にも配慮があり、すべての学童保育が監査を受けて結果を公表する仕組みや、スタッフの犯罪歴等のチェックを義務付ける国もありました。障害児のための遊び場づくり、児童擁護施設の子どもの放課後の充実など、すべての子どもの人間形成・学力向上を目指す視点も印象に残りました。また、学童保育に保育ママや乳幼児施設が多く活用されていたり、学童保育が小学生高学年や中学生ぐらいまでを対象に考えられていたり、企業が放課後活動の充実に貢献していたり、多様な方法があることもわかりました。

Q3 日本では今後どのような対策が必要でしょうか。

 日本では2007年に「放課後子どもプラン」がスタートしましたが、縦割り行政の問題もあって中途半端な取り組みになっています。政府は「次世代の人づくり」という観点から、諸外国のようにもっと本腰を入れて放課後対策の充実を目指すべきだと思います。

Q4 プロジェクトの成果を今後どのように活用していきたいとお考えですか。

 学童保育、学校など現場の方のご参考に、また自治体の放課後子どもプランや次世代育成支援行動計画の検討、企業のCSRの検討などにもご活用いただければと思っています。児童福祉、教育、まちづくり、少子化対策などにご関心をお持ちの方にもぜひお読みいただきたいです。さらに今後、本報告書をベースに国内の事例調査結果も加えて、プロジェクト全体の最終報告書として出版の予定です(勁草書房より12月刊行しました)。

池本美香 研究員紹介

 

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