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【シニア】
第7回 ギャップシニア向け商品開発のコツ~キーワードは「日常」と「洞察」

2016年04月12日 山崎香織


 第6回メールマガジンでは、ギャップシニアをセグメント化し、特徴に応じて欲望(ニーズ)を再点火させるヒントを紹介しました。ニーズが隠れているギャップシニアは「自分に合うものがない」、「何だか使いにくい」といったつぶやきをよく口にします。一方で、サプライヤーは「ギャップシニアがどんな生活をしているのかよく分からない」といった悩みを抱えています。
 では、こういったミスマッチを克服して商品・サービスを生み出すにはどうしたらよいのでしょうか。そのキーワードは「日常」と「洞察」です。

 ミスマッチの理由の一つは、いつものニーズ把握方法が通用しないことです。例えばネットアンケートをしようとしても、ギャップシニアのネット利用率は低く、しかも潜在的なニーズほど回答を得にくいものです。またギャップシニアは行動・交流範囲が狭いとはいうものの、施設ではなく自宅に居住しているので接点が限られます。仮に、接点を持つことができても、ギャップシニアは抽象的な思考が概して苦手で、会話の引き出し方に工夫が必要にもなります。
 ニーズの理解という壁を乗り越えても、シニアの心身特性を考慮した商品設計、テスト機会の確保、チャネル開拓などの課題がまだまだ続きます。そこで日本総研は、ギャップシニア・コンソーシアムに参加している企業や専門職と協働で、食、趣味のテーマで商品開発の実証を行い、「洞察」を働かせる仕組みの構築に取り組んでいます。この仕組みのポイントは以下の2つです。

 1点目は、ギャップシニアの生活観察です。シニアの集まる場やご自宅に足を運ぶと、手が届かなくなった窓をフライ返しで開け閉めする場面もあれば、十数年ぶりに裁縫針を持った方が目にも止まらぬ速さで縫い始める場面もあり、まさに驚きの連続です。他の世代からは意外に見える形で、思わぬ我慢や諦めをしているかと思えば、工夫を凝らしてモノを使っていたり、ひそかにやりたいという思いを持っていたりする。そんな「普段着」のシニアの様子から着想を得て、商品のコンセプトを練り上げました。
 2点目は、ギャップシニアを巻き込んだコンセプト・試作品の検証(テスト)です。意見を聞き出すのが一筋縄ではいかないシニアにご意見番になっていただく仕掛けとして、シニアとの接点の場で、具体的なモノをとっかかりに意見を引き出す手法を考案しました。単なるお試しや宣伝ではなく、シニアの生活に役立つ情報提供とセットで行うイベントを仕立て、会話の幅を広げる工夫を行っています。シニアの会話や様子からはコンセプト・試作品の改善に向けた大きな示唆が得られます。

 シニアとの接点を生かした生活観察やテストは、気づいては試し、試したら改善するという試行錯誤を繰り返せるというのが強みです。ユーザー像を具体的に思い浮かべることで、異業種の企業、専門職、ギャップシニアの協創が実現しつつあります。特に専門職ならではのアセスメントや提案はシニアのニーズを洞察する際の重要な切り口となっています。またイベントに参加したシニアの中には、参加前から何を言おうか考えている方もいれば、後日思いついたアイデアを教えてくださる方もいて、「ご意見番」の役割がちょっとした生活のハリになっている様子も垣間見えました。
 さまざまな企業や専門職、ギャップシニアとの協働で、シニアの「日常」を「洞察」し、商品開発につなげていくため、実証を通じてより良い工夫やルールを整えていきたいと考えています。

<バックナンバー>

「第1回 ギャップシニアとはどんな人か」
「第2回 ギャップシニア市場を創造する」
「第3回 ギャップシニア市場は公民連携で拓ける」
「第4回 ギャップシニアの日常生活」
「第5回 ギャップシニアの消費行動」
「第6回 ギャップシニアへのアプローチ」


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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