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オピニオン

男性管理職のアンケート意識調査(1)
―定時以降の労働を許容する男性管理職―

2016年03月07日 小島明子


1.定時以降の労働を許容する男性管理職
 公益財団法人日本生産性本部による「第6回コア人材としての女性社員育成に関する調査」によれば、女性の活躍を推進するための課題として、女性社員の意識(81.5%)、育児等家庭的負担に配慮が必要(61.4%)、管理職の理解・関心が薄い(50.1%)が挙げられている。
 上位2つの理由については過去多くの研究等で論じられてきた。そこで本稿では、3番目の管理職、とりわけ「男性」管理職の意識に着目し、「女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査」(日本総合研究所)の結果に基づきながら、女性の活躍推進に対する男性管理職の行動や意識変革が進まない理由とその対策について論じていきたい。

「女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査」(以下、「アンケート調査」)は、従業員数300人を超える企業の東京の事業所に勤務する40~59歳の男性管理職(課長クラス以上)を対象に、2015年3月24日から3月31日にかけてウェブ調査にて実施し、有効回答数は、40~49歳(258人)、50~59歳(258人)の男性管理職 計516人である。

「女性の活躍推進に関する男性管理職の意識調査」(以下、「アンケート調査」)は、従業員数300人を超える企業の東京の事業所に勤務する40~59歳の男性管理職(課長クラス以上)を対象に、2015年3月24日から3月31日にかけてウェブ調査にて実施し、有効回答数は、40~49歳(258人)、50~59歳(258人)の男性管理職 計516人である。

(1)約9割の男性管理職が女性の登用に賛成
 アンケート調査結果では、女性の登用について、賛成する男性管理職は85.1%、反対する男性管理職は14.9%であり、約9割の男性管理職が女性の登用に賛成している実態が明らかとなった(図表1)。女性の登用に賛成する理由として、約半数の男性管理職が「女性の視点が入ることで、商品開発等イノベーション創出につながること」(53.1%)を挙げており(図表2)、女性の活躍推進が企業のイノベーション創出につながると半数以上の男性管理職が考えていることが分かる。このことから、女性の登用に対する男性管理職の理解は十分得られていると考えられる。
図表1:女性の登用に対する賛否

*サンプル数は計516人で、「非常に賛成している」「やや賛成している」を賛成、「非常に反対している」「やや反対している」を反対として集計している。



図表2:女性の登用に賛成する理由

*サンプル数は、女性の登用について、「非常に賛成している」「やや賛成している」と回答した439人である。




(2)約6割の男性管理職が、自身の昇進のために定時以降の勤務を受け入れている
 アンケート調査結果では、自身の昇進のためには、定時以降に上司から依頼された仕事を行うことや、会議に出席することを仕方がないと感じていると回答した男性管理職は全体の約6割に上る(図表3)。女性の登用に賛成している男性管理職においても、この傾向は変わらない(図表3)。自身の昇進のために、定時以降の勤務を男性管理職が受け入れている状況がうかがえる。

図表3:組織で昇進をするための働き方に関する意識
定時以降の労働について/女性登用賛成派・反対派ごと

*サンプル数は、女性の登用に対する賛成派が439人、反対派が77人(図表1を参照)、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を「そう思う」に、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」を「そう思わない」として集計している。



(3)企業として職場全体の働き方改革が必要
 上記で述べた通り、女性の登用に賛成している男性管理職であっても、自身の昇進のためには定時以降の勤務を受け入れている状況である。企業として積極的に働き方改革を進め、定時退社や残業の削減を積極的に推進しなければ、そもそも働きやすい職場環境の実現は難しい。
 では、働き方改革のためには、どのような施策が必要か。本稿では3つの施策を取り上げたい。1つ目は、経営層から管理職に対して、トップダウンで進めていくことである。筆者が過去に往訪したベビー用品メーカーであるA社では、トップが明確に指示を行ったことで、平均残業時間も月5時間程度に圧縮されたという。部下の残業に対し、説明責任が求められるようになった管理職が残業時間の削減に真剣に取り組むようになり、その結果、生産性が向上している。
 2つ目は、残業削減に向けた取り組みを従業員にとってもメリットがある施策として提供していくことである。情報サービスB社では、目標達成時にインセンティブを支給することで残業削減を推進し、2011年度時点で月27時間だった残業時間を2014年度には月18時間と3分の2にまで圧縮させることに成功した。従業員の残業代が減ることが残業削減の障壁となる可能性があるため、従業員にとって経済的なメリットもある施策として進めれば、多くの従業員の意識を変え、会社全体で働き方改革を進めやすくなると考えられる。
 上記2つは、企業内の努力でできることであるが、事業内容によっては、顧客対応のために働く時間の調整が難しい企業も少なくない。そのような企業には、3つ目として、顧客から理解を得る施策を検討するべきである。ここでは、紙製品メーカーC社の事例を紹介したい。紙製品メーカーの業界では、長時間労働で働く人が非常に多く、総労働時間は年間2,000時間を超えているといわれていた(全国段ボール工業組合連合会調べ)。そのため、紙製品メーカーC社の社長が旗振り役となり、業界として全要素生産性の向上、総労働時間の削減に取り組み始めている。具体的には、従来、注文を受けた分だけ納品するという考え方が一般的であったなかで、注文をまとめて発注することを顧客に依頼をして集約生産につなげたうえ、リードタイムの延長も許容してもらうことで生産性を向上させている。注文回数が減ることで、生産の平準化ができるので、長時間残業の削減にも寄与することが期待されている。1社では要請しづらくても、複数社で要請することで顧客からの理解が得られるようにしている。
 今後も、従業員の定時退社や残業時間の削減が実現できるよう企業として取り組みを強化していくことが求められる。



※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません