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【ビッグデータが変える生活支援サービス③】
パーソナルデータの利活用による新サービス動向

2015年07月13日 段野孝一郎


 ビッグデータ分析技術の進展に伴い、パーソナルデータを活用したさまざまな生活支援サービスが登場しつつある。

 日立製作所は、東京建物、日立アーバンインベストメントと共同で、マンションエネルギー管理システム(MEMS)を用いた高齢者見守りシステムを開発した。同システムでは、MEMSを活用して、集合住宅の各住戸における電力や水道の使用量、温湿度情報、在室/不在室情報といった生活情報を収集、蓄積して解析する。これを基に、居住者に異変が発生したと推測される生活情報の変化を検知し、居住者本人や家族、介護スタッフにメールなどで知らせる仕組みだ。例えば、在宅しているにもかかわらず、電力や水道が長時間使用されないなど、大きな変化がある場合には、異変が発生した可能性があると判定する。また、電力使用量を一定期間収集して住戸ごとにモデル化し、通常の電気使用量との差を監視することで、居住者の生活リズムの変化を検知することも可能であり、この分析には日立製作所のビッグデータ解析ノウハウが活用されている。

 志幸技研工業が開発した「ネットミル」は、スマートメーターや家庭の分電盤から計測した電力使用量の変化を解析し、異常があればメールで通知するサービスである。世帯ごとの生活リズムを把握し、居住者が主体的に機器を使っているかが推定可能だという。今後は高齢者支援機関が同サービスを活用することなども想定している。

 建設機械大手のコマツとIT大手TISの子会社であるクオリカは、水道メーターを活用した見守りサービスの提供を始めている。水道メーターの計量値を分析し、一定時間、水道が利用されていない場合に家族へ通知する仕組みだ。今後は水道メーターのデータをクラウド上に収集・蓄積し、性別や年齢別、病気など、さまざまな世帯の水道利用パターンをビッグデータ解析することで、トイレの回数や入浴回数などから糖尿病や認知症の発見につながるサービスの提供を予定している。

 これまでのところ、パーソナルデータを活用した生活支援系のサービスは、専用のセンサーやデバイスなどからデータを計測することが一般的であったが、個人情報保護法の改正によって、データの目的外利用の要件が緩和されれば、電力会社やガス会社、水道局といったインフラ事業者がこうした生活支援サービスを低コストで提供することが可能になるだろう。

 現在でも、水道局の検針員が委託を受け、高齢世帯の安否確認を行っている事例等が存在する。わが国の今後の高齢世帯の増加を見据えた場合、インフラ事業者がこうした役割をより積極的に担える制度・政策を実現し、民間活用を図ることで社会全体としての財政負担を抑えつつ、より多くの生活者が生活支援サービスを享受できる市場環境が整備されることを期待したい。

以上


※執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません
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