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CSR経営動向調査/2009年度

2010年03月01日 ESGリサーチセンター


当社は、社会的責任投資のための企業情報提供を業務の一つとしている。企業情報の提出先は以下の金融機関である。
<2010年2月末現在>
・住友信託銀行
・住信アセットマネジメント
・大和証券投資信託委託
・三井住友アセットマネジメント
この度、2009年度の企業情報の更新に当たり、東京証券取引所第一部上場企業1,704社、及び、その他の市場に上場している時価総額上位企業、計2,000社に対してアンケート調査を実施した(2009年7月13日案内書発送、8月28日回答締切)。


調査結果


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一括ダウンロード (PDFファイル:604KB)
調査概要 (PDFファイル:265KB)
調査票「環境編」分析結果 (PDFファイル:404KB)
調査票「社会・ガバナンス編」分析結果 (PDFファイル:419KB)


調査結果の概要


証券コード協議会が定める中分類は、33業種分類であるが、本報告サマリーでは、計17業種をもとに分析を試みている。
繊維製品と化学を「繊維・化学」に、鉱業、パルプ・紙、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品を「素材・材料」に、鉄鋼、非鉄金属、金属製品を「金属」に、精密機器、電気機器を「電気機器・精密機器」に、陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業を「運輸」に、銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業を「金融」に、不動産業、サービス業を「サービス・不動産」に、食料品、水産・農林業を「食料品」に、それぞれ業種を統合して集計を行った。
ただし、環境編と社会・ガバナンス編の回答率(グラフ1とグラフ20)については、証券コード協議会が定める33業種中分類で集計を行った。

(1)気候変動への適応取組みに対する認知度高まる<グラフ7>
気候変動への適応取組みを実施していると回答した製造業企業には大きな伸長が見られた。「適応」という概念に対する認知度の高まりが窺える。
(2)非製造業を中心に環境問題対策の明確化が進展<グラフ8、14>
中期経営計画等の経営戦略の中に、温室効果ガス削減などの環境問題対策を明確に位置づけている企業の割合は昨年度を上回った。今年度は、金融、小売、卸売等、非製造業を中心に環境問題対策の明確化に進展が見られた。非製造業において、環境問題への配慮に対する市場からの要請の認識が進展したこととも一致する、今年度の特徴的な結果となった。
(3)排出削減目標達成の自己評価、やや改善<グラフ9>
温室効果ガス又は二酸化炭素の排出の絶対量が、長期的に削減目標達成の傾向にあると判断する企業の割合が昨年度を上回った。景気後退による工場の稼働率の低下が、排出絶対量減少傾向の要因として考えられる。
(4)7割が国別総量削減目標を受入れ、次の課題は自社の中長期目標設定<グラフ10、12>
次期国際枠組みにおける国別総量削減目標については、約7割から肯定的な回答が得られた。一方で、2013年度以降の目標値を設定していない企業は全体で7割を超え、国別総量目標の達成に向けた議論が深まっていく中で、中長期的視点での削減行動をスケジュール化していくことが今後の課題となっている。
(5)排出量取引制度、環境税導入の支持、広がらず<グラフ11>
排出量取引制度、環境税導入については概ね半数が肯定を示したが、一方で昨年度から支持が広がらず、経済回復の見通しが暗い中、環境対策としての追加的コスト負担を危惧する企業の姿勢が垣間見られる結果となった。
(6)環境問題対応を切り口としたR&Dは継続的に上昇<グラフ18>
事業機会創出のための環境問題対応を切り口とした研究開発(R&D)があると回答した企業の割合には、企業業績の厳しさにも関わらず継続的な上昇が見られた。
(7)安定雇用に向け、企業の取組み強化が望まれる<グラフ30、31>
労働者派遣契約解除の増加や「育休切り」等の問題に対処するために講じている取組みについて尋ねた。雇用維持の為のワークシェアリング導入は1割に満たなかった。また、育休の取得等を理由とする解雇、その他の不利益取扱いを防止するための教育や研修など、企業の取組み強化が望まれる。
(8)グローバル人材管理・活用、働きやすい職場作り、取組みの余地あり<グラフ35、36>
海外の事業所での現地採用の従業員も含めたグローバルな人材の活用・管理の促進、現地従業員にとって働きやすい環境整備のための本社の取組みを尋ねた。「現地採用の従業員を対象とした満足度調査を実施している」の実施は1割未満と少なく、現地の生活・文化・宗教に配慮した取組みでは、非製造業に遅れが見られた。
(9)本業と社会貢献を通じた発展途上国への取組み高まる<グラフ39、40>
発展途上国での継続的な社会貢献活動について尋ねたところ、3社に1社が実施していることが明らかになった。また、社会的課題の解消に資するビジネスに関する設問でも、途上国の生活環境改善の事業化が昨年度から増えており、発展途上国に対する関心の高まりと一致する結果となった。
(10)安全・安心に関する本業を通じた取組みが増加の傾向<グラフ25、40>
災害などの緊急時に顧客の損害を抑えるために実施している取組みを尋ねたところ、事業継続への意識の高まりが窺える結果となった。また、社会的課題の解消に資するビジネスに関する設問でも、「災害に強い社会の実現」、「治安・セキュリティの維持・改善」等の事業化が増えており、安心・安全な社会への要望の高まりを反映した結果となった。


調査の概要


(1)実施主体:株式会社日本総合研究所
(2)実施期間:2009年7月13日~同年8月28日
(3)調査対象:東京証券取引所第一部上場企業 1,704社、及び、その他の市場に上場している時価総額上位企業 計2,000社
(4)調査方法:「わが国企業のCSR経営の動向調査」各社専用サイトにアクセスするためのIDとパスワードを送付し、ウェブ画面上で回答、インターネット経由で受領。
本年度より、業種特性にあった設問とするため、調査票を製造業と非製造業に分けて調査を実施。なお、「水産・農林業」、「鉱業」、「建設業」、「電気・ガス業」といった業種は、通常は非製造業に分類されることが多いが、回答しやすさという点を考慮し、本調査では製造業に分類して実施。
<製造業に分類した業種>
水産・農林業鉱業建設業、食料品、繊維製品、パルプ・紙、化学、医薬品、石油・石炭製品、ゴム製品、ガラス・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、機械、電機機器、輸送用機器、精密機器、その他製品、電気・ガス業

<非製造業に分類した業種>
陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業、情報・通信業、卸売業、小売業、銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業、不動産業、サービス業

(5)回収回答数:全体 368社(回答率18.4%)、調査票「環境編」361社(回答率18.0%)、調査票「社会・ガバナンス編」348社(回答率17.4%) (いずれも締切後提出分も含む)
(6)調査項目:調査項目は下記の表に示すとおりである。

<調査票 環境編>
1.環境コミュニケーション
2.環境マネジメント
3.環境パフォーマンス
4.サプライチェーン・マネジメントの観点
  からの環境対策
5.生物多様性
6.事業機会としての環境問題対応

<調査票 社会・ガバナンス編>
1.企業統治
2.公正な経済取引
3.顧客に対する誠実さ
4.労働慣行
5.仕事と生活との両立支援
6.グローバル市場への的確な対応
7.社会活動への積極関与
8.社会的課題の解消に資するビジネス
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